◆所蔵品から◆資料ナンバー10349 「昭和十九年版 敵機一覧」の話
資料班



寄贈品展 展示風景)

寄贈品展(2024年12月~) 展示風景

 昨年(2024年)12月3日に始まった「第12回寄贈品展 知ってほしい 戦争の時代」は2月22日までです。今月も、展示中の資料の中から、ご覧いただきたいと思ったものを紹介します。

双眼鏡 展示

双眼鏡

 まずはこちら。双眼鏡です。革製のケースが付いています。

双眼鏡" 双眼鏡"

双眼鏡 上の写真が目に当てる側

 寄ってみると、白い文字が見えます。
 この画像では読みにくいでしょうか。右側に「TOKO」「Scale」「Field 8°」、左に「RENOX」「6×25」「76070」の文字があり、中央の丸いところはダイアルのようになっていて、「60」「70」の数字があります。
 検索してみたら、東京光学(東光)という会社が軍用の双眼鏡を作っていました。「6×25」は、「6倍に見える」「レンズの直径が25ミリメートル」という意味だそうです。 

展示中 「昭和十九年版 敵機一覧 読売新聞社編」

 もう1点ご案内したいのは、こちらの冊子「敵機一覧」です。

昭和十九年版 敵機一覧

昭和十九年版 敵機一覧 奥付・表紙

 アメリカ軍とイギリス軍の飛行機の一覧です。昭和19年(1944年)、7月の発行です。編集・発行は読売新聞社です。

昭和十九年版 敵機一覧

「昭和十九年版 敵機一覧」
(左から)米国陸海軍機制式記号の読み方(部分)・まえがき

 アメリカの飛行機の名前のアルファベットが何を表しているかの説明のページもあります。
  B29のBは「ボンバー」(bomber・爆撃機)P51のPは「パーシユト」(pursuit・追撃機、戦闘機)の略です。
 「まへがき」(前書き)には、敵機について詳しく知ることは、本土防衛の責を担うわれらの任務であろう、そして、アップデートが大事だ、ということが書かれています。

昭和十九年版 敵機一覧 昭和十九年版 敵機一覧

昭和十九年版 敵機一覧 目次(部分)

 目次の一部をご覧いただきます。Pで始まる戦闘機、A(Attack)で始まる攻撃機、Bで始まる爆撃機が並んでいます。海軍の飛行機はまた別の名付け方をしているようです。

昭和十九年版 敵機一覧 昭和十九年版 敵機一覧 昭和十九年版 敵機一覧

昭和十九年版 敵機一覧 B-29、P-51、B-25

 個別の飛行機のページです。名古屋や愛知県に飛んで来ていた、B-29・P-51・B-25を見てみます。
 見開きの右ページは実際の飛行機(または模型)の写真と文字情報、左ページは3方向から見た飛行機の図です(側面、上から、正面)。

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昭和十九年版 敵機一覧
P-70ナイトホーク・フェアリー社アルバコーア・マンタ長距離戦闘機

 最後に、興味深いと思った飛行機を3種類ご紹介します。
 ひとつ目は夜間戦闘機P-70ナイトホーク。夜間の攻撃のため、黒っぽく塗られた機体に、ナイトホークというどこかで聞いたような名前。「攻撃機A-20Aを改造」と書かれています。
 次はイギリスの複葉機フェアリー・アルバコーア。翼が上下2枚の複葉機です。前方にプロペラがついています。
 最後の一つはマンタ長距離戦闘機。飛行機の名前ではなく製作した会社の名前が「マンタ」だそうです。形も独特で、海にいるマンタ(エイの仲間)に似ているようにも見えます。右ページも写真ではなくイラストで、「謎の飛行機」感がありますが、乗員1名、翼長15メートル24、武装は機関銃4と機関砲4、ほかにも最大速度、最大馬力、航続距離など、具体的な数字が書かれています。

お知らせ
第12回寄贈品展 知ってほしい 戦争の時代 開催中 
2025年2月22日(土)まで  ピースあいち3階展示室





詳しい画像はこちらからどうぞ。
https://peace-aichi.com/pdf/20241223_biruma.pdf

ピースあいちウェブサイトの、所蔵品の紹介のページからも、バックナンバーの関連画像が見られます。よかったらこちらもどうぞ。
https://peace-aichi.com/objects/