◆所蔵品から◆資料ナンバー10414 満蒙開拓青少年義勇軍 絵はがきの話
資料班
絵はがき 満蒙開拓青少年義勇軍
今月ご紹介するのは絵はがきのセットです。外袋には「満蒙開拓」「青少年義勇軍」「内原訓練所」「10セン」などの文字が書かれています。さらに、「発行所 財団法人満洲移住協会」「東京都麹町区一番町十九番地」。麹町区は今は千代田区。皇居や国会議事堂の近くです。
茨城県水戸市の内原(うちはら)にあった満蒙開拓青少年義勇軍の訓練所の絵はがきです。前回(第11回)の寄贈品展では満蒙開拓青少年義勇軍の漫画が展示されましたが、その後に別の方からこの絵はがきの寄贈がありました。
(青少年義勇軍の写真の、2種類の絵はがきセットが混ざっていました。この外袋と今回ご紹介した絵はがきは違うセットのものかもしれません)
最初に見ていただく絵はがきの写真は、彌栄神社と日本体操です。右上の写真には「彌栄神社前で彌栄奉唱」、右下の写真には「義勇軍の身心を鍛える日本体操」と説明文がついています。
「彌栄」は「弥栄」とも書きます。「いやさか」と読めて、ますます栄える、めでたいという意味です。水戸の彌栄神社は「やさか」と読むようです。
「日本体操」には、「やまとばたらき」とふりがながあります。そういう名前の体操があったのだそうです。
絵はがき 満蒙開拓青少年義勇軍
続けて何枚かご紹介します。
「左― きょうのパンも大出来、美味しそうな焼具合だ」「右― 朋友が作った御馳走で楽しい食事のひととき」
朋友には「ポンユウ」とふりがながついています。
絵はがき 満蒙開拓青少年義勇軍
「上― 家畜班の世話でめきめきと肥えて行く」「下― 渡満までには一通り馬をこなせるようになる」
右の写真の白い獣は、たぶん山羊ですが、けっこう骨と皮だけに見えます。これがまるまるとふとっていくのでしょうか。
絵はがき 満蒙開拓青少年義勇軍
「左― 軍事訓練は軍隊同様厳格に行われる」「下― 肚をつくる武道には直心影流法定の型で錬磨」
これ、左(左上)の写真がはち巻きで剣道のようなことをしていて、下(右下)の写真が軍服で銃をかまえているので、たぶん説明文が入れ替わっています。
絵はがき 満蒙開拓青少年義勇軍
2枚まとめてご紹介します。
「内原に於ける猛訓練も滞りなく終えて晴れの壮行式を迎え若人の胸は高鳴る」
「左― 農耕は義勇軍の最も大切な訓練の一つである」「右― 標本室で実地に大陸の農作物を研究する」
絵はがき 満蒙開拓青少年義勇軍
さらに2枚まとめてご紹介します。
「右― しっかりやって来いよと激励されて別れを惜しむ面会のひと時」「左― 揃いの制服に身を包み、歩武堂々訓練所を出発」
「右― 鍛工場では義勇軍の魂たる鍬や鎌が作られる」「下― 竹細工も立派な特技だ、訓練所では特技を尊重する」
義勇軍の魂は武器ではなく農具だと書かれています(鍬(くわ)は、土を掘り起こしたりする道具です)。絵はがきの写真も、軍事訓練はもちろんあるのですが、畜産、農耕、農作物の研究など、農業関連の訓練、学習も多いです。
写真にはかなり幼く見える訓練生も写っています。前回の第11回寄贈品展の目録によると、満蒙開拓青少年義勇軍は「満14歳から18歳までの青少年」で構成されていました。
お知らせ
第12回寄贈品展 知ってほしい 戦争の時代
2024年12月3日(火)~2025年2月22日(土) ピースあいち3階展示室
12月3日(火)11時からオープニングイベントを行います。ご寄贈者と資料班メンバーが資料の解説をします。予約制です。052-602-4222 ピースあいち事務局まで
詳しい画像はこちらからどうぞ。
https://peace-aichi.com/pdf/20241121_giyuugun-ehagaki.pdf
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