◆所蔵品から◆資料ナンバー10161 画集「大東亜戦争画」の話
資料班
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「大東亜戦争画」
現在(2023年11月)ピースあいちでは、12月5日(火)に始まる 第11回寄贈品展 戦争が遺(のこ)したモノたち の準備が進んでいます。今月の「所蔵品から」は展示される資料の中からご紹介しようと思います。
「大東亜戦争画」と書かれた箱の中に、12枚の絵が入っています。ほかに表紙と目次にあたる紙も入っていました。大きさは、A3サイズより少し小さいくらいです。
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「大東亜戦争画」
目次にあたる紙です。最初に「画題」と書かれています。下段は絵の作者の名前でしょうか。人名が並びます。いちばん右は日本画家の「堂本印象」(どうもと いんしょう)、続けて57名。合計58。オリジナルの絵の大きさがどのくらいか、分業制なのか、などについては調べきれていません。
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「暁の一隊」 「ジャングルを衝く」
最初の2点の絵をご覧いただきます。「暁の一隊」と「ジャングルを衝(つ)く」です。
朝焼けのピンクの空、前景に広がる緑の葉。日本画を見る楽しさを感じる部分ですが(←私の感想です)、どちらの絵も主役は兵士たちです。
「ジャングルを衝く」のほうは、黒っぽいヘルメットに白の半そでシャツの兵士の列が葉のすき間から見えます。
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「翼の勇士」
それぞれの絵には、薄紙の覆いがついていて、そこにタイトルと短い文章が印刷されています。たとえば「翼の勇士」についている文章は、
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「翼の勇士」に付けられた文章
「生死を超越し一意任務の完遂(かんすい)に邁進(まいしん)すべし。身心一切の力を尽くし、従容(しょうよう)として悠久の大義に生くることを悦(よろこ)びとすべし。 ―戦陣訓より―」
絵についている文章はすべて「戦陣訓」の引用でした。「戦陣訓」でいちばん有名なフレーズは「生きて虜囚(りょしゅう)の辱(はずかしめ)を受けず」だと思いますが、そのすぐ前の項目にあるのがこの「悠久の大義」です。
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「春風唱和」
ほかの絵もご覧いただきます。「春風唱和」というタイトルです。戦場の絵ではなく、子どもたちが描かれています。傷痍軍人への慰問の様子でしょうか。
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「春風唱和」に付けられた文章
こちらについていた文章は
「万死に一生を得て帰還の大命に浴することあらば、具(つぶさ)に思を護国の英霊に致し、言行を慎みて国民の範となり、愈々(いよいよ)奉公の覚悟を固くすべし。 ―戦陣訓より―」
生きて帰ってきた場合もお国に奉仕するように、というようなことが書かれています。
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「南の光」
「南の光」で描かれているのは水に入って手入れされている馬と牛。
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「南の光」に付けられた文章
「刀を魂とし馬を宝と為せる古武士の嗜(たしなみ)を心とし、戦陣の間常に兵器資材を尊重し、馬匹(ばひつ)を愛護せよ。 ―戦陣訓より―」
兵器や動物を大切にすることが書かれています。
このほかにもいくつか、題材や構図が面白いと思った絵をご紹介します。
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「その一瞬」
「その一瞬」
「凡(およ)そ戦闘は勇猛果敢(ゆうもうかかん)、常に攻撃精神を以て一貫すべし。 攻撃に方(あた)りては果断(かだん)積極機先を制し、剛毅(ごうき)不屈、敵を粉砕せずんば已(や)まざるべし。 ―戦陣訓より―」
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「轍(わだち)の響」 (情報局推奨)
「轍(わだち)の響」
「勝敗は皇国の隆替(りゅうたい)に関す。光輝ある軍の歴史に鑑(かんが)み、百戦百勝の伝統に対する己の責務を銘肝(めいかん)し、勝たずば断じて已(や)むべからず。」
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「凍雪」
「凍雪」
「哨務(しょうむ)は重大なり。一軍の安危を担(にな)ひ、一隊の軍紀を代表す。宜(よろ)しく身を以て其の重きに任じ、厳粛に之を服行すべし。哨兵の身分は又深く之を尊重せざるべからず。 ―戦陣訓より―」
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「歓送」(情報局推奨)
「歓送」
「後顧(こうこ)の憂(うれい)を絶ちて只管(ひたすら)奉公の道に励み、常に身辺を整へて死後を清くするの嗜(たしなみ)を肝要とす。 ―戦陣訓より―」
詳しい画像はこちらからどうぞ。
https://peace-aichi.com/pdf/20231123_sensouga.pdf
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https://peace-aichi.com/objects/