◆所蔵品から◆資料ナンバー10332 マッチのラベルのアルバムの話
資料班
マッチラベルアルバム
今月ご紹介するのは黒い表紙のアルバムです。データベースによると12.4×17.6センチメートルの大きさです。
広げると帯のようになっています。貼られているのはマッチ箱のラベルです。
マッチラベルアルバム
もうすこし拡大します。「Album」と金色の文字が入っている表紙につながっているブロックと、その隣のブロックです。
「ボーシ専門店 ライオン堂 二重橋前」「海水浴 二見館」「鮎料理専門 鯉の生造り かき伊」「ふくハなるみの生料理」。あとはお酒、「千福」、「水龍」、「キリンビール」です。
ひとつのマッチ箱にはラベルが2枚貼れます。これらのラベルの中には、同じ箱に貼られていた(と思われる)ペアが存在します。
「ボーシ専門店ライオン堂」「鮎料理 かき伊」「二見館」は2枚ずつあります。上のブロックの左下、深緑色の波と白い千鳥の模様、上に赤い文字で「FUTAMIKAN FUTAMIGAURA TEL3」と書いてあります。帽子のライオン堂も片面は
「HATS and CAPS」と、英語を使っています。
マッチ箱とマッチ棒
マッチになじみのない方もいらっしゃると思いますので、マッチ箱とマッチ棒の模式図を載せておきます。棒(約5センチ)の端に薬品がついていて、箱の横の面で勢いよくこすると火がつきます。マッチ箱の広い面は、図では真っ白ですが、いろいろなデザインのラベルが貼られていました。
マッチラベルアルバム
ほかのラベルも見ていただきます。この中ではまず「サクラビール」が気になりました。クレヨンのパッケージみたいなオレンジのラベルと、桜の下の舞妓さん風の人物のラベルがあります。
京都のビールなのかなと思って調べてみたら、「九州初のビール工場」で作られたビールであることと、2020年に「サッポロ サクラビール2020」というビールが発売されていたことがわかりました。
ほかには、広島県呉(くれ)市の「喫茶とバー イソベ」と「喫茶 おでん 御食事 あづま」、高知県からは「南国土佐大博覧会」と「土佐セメント株式会社」。「別府温泉大博覧会」関係も2枚あります。上のブロックの左上、黄色のストライプのものは「広島県能美中村港 津田吟醸」と書かれています。
マッチラベルアルバム
広島県呉市と大分県別府市のお店のマッチが全体に多いです。このブロックにあるのは呉の「ビリヤード ミカサ」と「Tea House Rock」、「別府しぼり始祖 あさくの絞店」のマッチラベルです。もうひとつは「喫茶 菓子 軽い御食事 本通六丁目 電四三六六番」ということで、店名も場所もわかりません。
最初のほうに出てきた「ボーシ専門店ライオン堂」の場所は「二重橋前」です。調べてみると呉市に二重橋(ふたえばし)という橋がありました。
マッチラベルアルバム
小さいマッチ箱のラベルの中に、面白いというか味のあるキャッチコピーが載っているものをご紹介したいと思います。
左下の、銀色と緑色のラベルは「高級ビリヤード 別府 松竹倶楽部」。
「心のうさのすて所 是非!!!」と書かれています。銀色の地に白い字なので写真では見えにくいです。漢字で書くと「心の憂さの捨て所」。ストレス解消、みたいなことでしょうか。
マッチラベルアルバム
こちらで注目していただきたいのは、中央のひときわ白いもの。「FUJI BAKING フジパン」。かなり新しいものだと思われます。
こちらのコピーは「やつぱり フジパン めつきり健康」。「やっぱり」「めっきり」の「つ」が大きいところは、多少古めかしいです。
もうひとつは、最初のほうに紹介した、「ふくハ(は)なるみ」のもの。水色の中に青いフグ(ふく)、前景に海藻がゆらゆらというデザインです。
「山ハ富士 海ハ瀬戸内 湯ハべっぷ」と、五・七・五になっています。
マッチラベルアルバム
最後に見ていただくのは「旭味」。左下の青いものです。
「調味料 純結晶」「製造元 旭ベンベルグ絹絲株式会社 発売元 日本窒素肥料株式会社」と書かれています。「旭ベンベルグ絹絲株式会社」は現在の旭化成です。
詳しい画像はこちらからどうぞ。
https://peace-aichi.com/pdf/20231022_match_labels.pdf
ピースあいちウェブサイトの、所蔵品の紹介のページからも、バックナンバーの関連画像が見られます。よかったらこちらもどうぞ。
https://peace-aichi.com/objects/