◆所蔵品から◆資料ナンバー10355 中国の大型地図の話
資料班
「支那詳密大地図」
今月の「所蔵品から」では、大型の資料をご紹介します。中国の地図「支那詳密大地図」です。
横幅が1160ミリメートルで、巻物のようになっています。
「支那詳密大地図」(部分)
一部を拡大してご覧いただきます。右上(北東)の部分です。
右端の枠外には「支那地理研究会編纂」(編纂=へんさん)と書かれています。
左上には大きく「満洲」の文字があります。北緯42度と北緯46度の線が描かれています。真ん中からすこし左(西)寄りの赤い丸は「新京」(現在の長春市)です。
「支那詳密大地図」(部分)
さらに拡大すると下のほうに「奉天省」の赤い文字が見えます。。
鉄道(白と黒の線)が集まっている少し大きめの二重丸が、「奉天」です。満州事変の「柳条湖」(りゅうじょうこ)は、この近くです。
四角で囲まれた赤い字は、その土地の産物です。「新京」のまわりの川の近くには「米」「大豆」「小麦」「煙草」などの農産物が書かれています。「奉天」の周辺は「石炭」「銅」「鉄」など、鉱物が多く書かれています。穀物は「高粱」(コーリャン・もろこし・たかきび)が近くにあります。
「支那詳密大地図」(部分)
少し南下して、地図の真ん中くらいのところです。北緯38度と北緯34度の線が描かれています。
右(東)につき出た半島が山東半島です。半島の北には黄河の河口、南に行ったところには「揚子江」(長江)の河口があります。
「支那詳密大地図」(部分)
もうすこし拡大しました。上(北)の2つの三重丸(大都市)は「北京」と「天津」です。北の方が北京です。
下(南)の2つの三重丸は、「上海」「南京」です。海に近い方が上海です。上海や南京のまわりには、「米」「落花生」「胡麻」「茶」の文字があります。
「支那詳密大地図」(部分)
北京のまわりには万里の長城が描かれています。
四角くでこぼこしている線が、万里の長城です。
「支那詳密大地図」(部分)
地図の下(南)部分です。北緯34度から北緯18度くらいまでの範囲です。沖永良部島が右(東)の端で、沖縄本島を通って「琉球列島」をたどると台湾に続いています。
「支那詳密大地図」(部分)
左(西)の方を拡大しました。長江の上流に四川省があります。三重丸の大都市は重慶市と成都市です。
「支那詳密大地図」(部分)
左下(南西)も見てみましょう。
中央に「東京湾」(トンキン湾)があり、その左(西)には「ハノイ」があります。現在のベトナム、当時は「仏領印度支那」(フランス領インドシナ)です。さらに左下(南西)は、赤字で「シヤム」と書かれています。現在はタイです。
「写真特報 大阪毎日」 1. 昭和13年(1938年)12月2日 2. 昭和14年(1939年)9月25日 3. 同10月2日 4. 同10月11日
「支那詳密大地図」(部分)
先月の「所蔵品から◆資料ナンバー10147 写真特報 大阪毎日 の話」
でご紹介した「写真特報 大阪毎日」には、中国で撮影された写真がいくつかありました。それぞれが、地図のどのあたりになるのかをご紹介しようと思います。
図の1番、「佛山の水上タクシー 南支戦線」は、南の広東省。珠江の河口に近いところです。
2番と3番は内陸の湖南省です。「洞庭湖」(3番)とその近くの「二洲子附近」(2番)と書かれていました。
4番には「高郵」という地名が出てきます。江蘇省、南京の近くに高郵湖という湖があります。
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https://peace-aichi.com/pdf/20230922_oogatachizu.pdf
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