◆所蔵品から◆資料ナンバー9636その他 2023年夏 新美南吉展に使われた資料 の話
資料班
新美南吉展 会場入り口
7月に入り、ピースあいち夏の特別展が始まりました。今年(2023年)は「新美南吉の生きた時代―文学と戦争と平和」、9月9日(土)までです。
今月の「所蔵品から」では、会場で展示している資料と、パネルづくりの時に役に立った資料をご紹介します。
第1コーナー
今回の展示では、4つのコーナーに分けて新美南吉の生涯と作品を紹介しています。最初のコーナーは「南吉を育んだ半田・岩滑(やなべ)」。
中学生時代の作品「張紅倫」の解説パネルのイラストで、少佐のかぶっている帽子。寒い中、井戸の穴の底で夜を過ごした少佐は、防寒の、毛皮のついた帽子をかぶっています。
第1コーナー
そのモデル(の一部)となったのがこの、ピースあいちの所蔵資料の帽子。準常設展「戦争と動物たち」で、展示しているものです。
第2コーナー
次のコーナーは、新美南吉の東京時代「近代文学との出会い、そして戦争の時代へ」。
二・二六事件を伝える新聞号外、小林多喜二の死を伝える「救援新聞」(復刻版)などを展示しています。新美南吉が東京外国語学校で英語を学んでいたころの社会の動きが伝わってきます。
また、東京時代に書いた作品「ひろった らっぱ」の紹介パネルに描かれたラッパ、これもピースあいちの所蔵資料のラッパがモデル(のひとつ)になっています。
第3コーナー
3番目のコーナーは、「安城での希望の教員生活から無念の死まで」です。
童話集のタイトルにもなった作品「牛をつないだ椿の木」のパネルには、日露戦争へと出征していく人物が描かれます。
日露戦争実記(左) 博文館発行
そこでこちら、「日露戦争実記」。昭和の時代のアジア・太平洋戦争を主に展示するピースあいちで、明治時代の日露戦争の資料が役立つときがあるのか、と思っていたのですが、今回出番があったのですよ。作画のお役に立ったのかというと、微妙なところですけど。
第4コーナー
4番目のコーナーは、「戦争の時代を生きた南吉―非戦と平和への願い」です。
このコーナーではラッパの実物を展示しています。
東京コーナーの「ひろった らっぱ」の作品解説パネルには、戦争で使われるはずだったラッパが人々を元気にするために使われるようになる、ということが書かれています。
ラッパや新聞の実物が見られることは、「文学と戦争と平和」と題された、ピースあいちならではの展示の要素のひとつではないかなと思います。
詳しい画像はこちらからどうぞ。
https://peace-aichi.com/pdf/20230722_nankichipeace.pdf
ピースあいちウェブサイトの、所蔵品の紹介のページからも、バックナンバーの関連画像が見られます。よかったらこちらもどうぞ。
https://peace-aichi.com/objects/