◆所蔵品から◆資料ナンバー1216 家庭一品料理カード 婦人倶楽部1932年5月号附録 の話
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家庭一品料理カード 婦人倶楽部1932年5月号附録

家庭一品料理カード 婦人倶楽部1932年5月号附録

 今月ご紹介するのは雑誌「婦人倶楽部」1932年5月号の付録、「家庭一品料理カード」です。表紙には、「美味しいお料理五百種の作り方」と書いてあります。
 表紙の女性はかっぽう着に着物、ウェーブのある髪型。表紙カードの裏の、化粧品の広告の女性も、同じような髪型で着物姿です。
 1932年は昭和7年です。今(2023年)から90年以上前の家庭料理は、どのようなものだったのでしょうか。

家庭一品料理カード 婦人倶楽部1932年5月号附録

家庭一品料理カード 婦人倶楽部1932年5月号附録

 2枚目は「目次」(もくじ)です。1枚のカードの表面と裏面を横に並べてご覧いただいています。
 料理のカードは59枚。魚介類23枚、肉卵類10枚、野菜類26枚です。

家庭一品料理カード 婦人倶楽部1932年5月号附録

家庭一品料理カード 婦人倶楽部1932年5月号附録

 目次の最初を拡大しました。1枚のカードに2種類の料理が載っています。それぞれに、「應用三種」、「應用四種」などと書かれています。
 表紙カードの「五百種」は、この「應用」(応用)も数えた合計と思われます。

家庭一品料理カード 婦人倶楽部1932年5月号附録

家庭一品料理カード 婦人倶楽部1932年5月号附録

 3番の、鯰の酢漬け焼/鰤の香鹽焼のカードです。表が料理の画像、裏が作り方です。
 上はナマズ(鯰)の料理です。焼く前に酢で下味をつけます。素材も料理法も珍しいと思いました。
 もうひとつはブリ(鰤)の塩(鹽)焼き、スパイス風味です。ショウガと山椒と肉桂(シナモン)と胡椒にゴマと塩を合わせ、味をつけます。

家庭一品料理カード 婦人倶楽部1932年5月号附録

家庭一品料理カード 婦人倶楽部1932年5月号附録

 7番、乾章魚の治部煮/蟹の玉子蒸 です。
 上はタコ(章魚)の乾物を使った煮物、下はカニ(蟹)とねぎ入りの玉子を蒸して固めて二杯酢で食べる料理です。

家庭一品料理カード 婦人倶楽部1932年5月号附録

家庭一品料理カード 婦人倶楽部1932年5月号附録

 作り方説明の挿絵の部分です。まな板の上のタコ。どういう場面かというと、「章魚(たこ)に片栗粉をまぶしつけて包丁の柄で軽く叩き、…」というところを絵にしているようです。
 しかし、この前の段階でタコは水でもどされ、重曹入りの湯でゆでられ、薄くそぎ切りになっているはずです。それが丸ごと登場しているし、ポーズも何だか愛嬌がある。足は8本だけど、この足はどちらかというとゲソ(イカの足)に見える。
 料理の手順と関係のない、謎のイラストになってしまっているように思います。

家庭一品料理カード 婦人倶楽部1932年5月号附録

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 野菜料理でびっくりしたのは、きゅうりを煮る料理がいくつかあったことです。胡瓜(きゅうり)の印籠(いんろう)煮と、胡瓜の下馬煮の載っているカードをご覧いただきたいと思います。
 印籠煮は、きゅうりの種の部分に鮭をすりつぶしたものが入っています。下馬煮は、「鶏の臓物」ときゅうりを炒めてから煮たものです(臓物と書いて「もつ」とふりがながあります)。甘い味噌(みそ)味です。説明を読むと、レバーや心臓がおすすめ、皮は不向きだそうです。

家庭一品料理カード 婦人倶楽部1932年5月号附録 家庭一品料理カード 婦人倶楽部1932年5月号附録

家庭一品料理カード 婦人倶楽部1932年5月号附録

 カラーの面のいちばん下が、広告になっています。広告にも注目して、何点か見ていただきたいと思います。
 1番(右側)の、揚げ鯛/鯵(あじ)の揚げ酢浸しの下は「サラダ油」。おしゃれな飲み物のような瓶にサラダ油が入っています。向かって左の子どもがお皿に手をのばしてつまみ食いをしようとしているように見えます。
 広告の下に「優良食料品案内」という文字も見えます。
 9番(左側)の生節(なまりぶし)のカレー煮/鱚(きす)の笹蒸 の下の広告は、「カレーの友」です。メタル印のカレー、検索すると今でも売っているようです。

家庭一品料理カード 婦人倶楽部1932年5月号附録

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 27番(右側)は肉料理、牛肉の山吹団子/牛肉の月見焼です。牛肉の月見焼は、ゆで卵の入ったメンチカツのような料理です。ゴマ油で揚げます。広告はブルドッグソースです。
 32番(左側)は 豚肉のトマトかけ/豚肉の餅米(もちごめ)包み蒸です。 豚肉のトマトかけは西洋風の料理、トマトソースのポークソテーです。下の広告はバターです。フライパンで肉を焼くときにバターを使います。
 豚肉のもち米包み蒸しは中華風の料理で、まわりがもち米のシュウマイです。
 広告を見ていると、90年経った今も続いているメーカー(ブランド)がいくつもあります。調味料のメーカーは長い歴史のあるところが多いようです。



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