◆所蔵品から◆資料ナンバー839 世界知識 1941年8月号 の話
資料班
世界知識1941年8月号
今月ご紹介するのは雑誌「世界知識」1941年8月号です。誠文堂新光社の発行です。
誠文堂新光社は、今でもある出版社です。「デザインノート」「フローリスト」「愛犬の友」「子供の科学」「天文ガイド」など、さまざまな雑誌を出しています。(「愛犬の友」は2020年7月号を最後に休刊しています)
82年前の「世界知識」の表紙は、軍服を着ている人物が何かの機械を操作しているような写真です。襟のマークや、帽子のデザインからすると、ドイツの軍服のようです。
深い赤と存在感のある黄色で、モノクロの写真の表紙と裏表紙が目を引くインパクトのあるデザインになっています。真っ白の「世界知識」のロゴもきれいにはまっています。
裏表紙は広告です。男性も使えるお肌の手入れ、「一瓶一家の整肌料! レートフード」です。
上の方を単色でベタ塗りするデザインは、最近の雑誌の表紙でも見たことがあります。ぱっと見るとおしゃれ、中身をよーく見ると、化粧品と剣道の取り合わせで、不思議な感じがします。
世界知識1941年8月号
巻頭のグラビア、最初は「河中を驀進しつつ敵陣地へ肉薄していくドイツ軍戦車隊(砲塔より撮影)―ギリシヤ戦線にて」。
ドイツとソ連(ソビエト連邦)の開戦が最初の大きなニュースです。後で、文章の記事もご覧いただきます。
世界知識1941年8月号
次にご紹介するページは「世界の様態」です。エマヌエル伊皇帝、フランコ将軍、ムッソリーニ伊首相、チャーチル英首相、宋美齢(蒋介石の妻)と、歴史上の人物が並びます。
世界知識1941年8月号
次は「赤軍の実戦態勢」。
ドイツと戦争を始めたソ連軍の実態を写真で伝えるページです。
世界知識1941年8月号
「ドイツのソ連進撃の核心」、読み物のページです。
世界知識1941年8月号
左ページの地図の、下半分を拡大してみました。(画像の加工で、文字に色を乗せています)
以前「所蔵品から」で、1939年の新聞の切り抜きをご紹介したことがあります。その時の地図では、ドイツとソ連の間にポーランドがあったのですが、1941年にはドイツとソ連は国境を接して向き合っています。
中央より上の方に「モスコー」(モスクワ)があります。南には「ウクライナ共和国」があります。当時はソ連の一部でした。ドイツはすぐ隣です。「ラ」と「イ」の間に「キエフ」(キーウ)があります。
世界知識1941年8月号
「ドイツのソ連進撃の核心」は、次のページに続きます。
「ソ連唯一の宝庫」として、ウクライナのことが取り上げられています。農業、工業ともに、ウクライナの生産量は大きな割合を占めています。
世界知識1941年8月号
左ページの写真も、ウクライナの写真です。
世界知識1941年8月号
他には、どんな記事が載っていたのでしょうか。巻末の、編集後記と奥付のページをご覧いただきます。目次のページがないかわりに、編集後記に、どんな記事があるのか書かれています。
最初の話題は「独ソ開戦」。次に、ドイツ、イタリアなどによる汪兆銘国民政府承認。米英の中南米作戦、そして太平洋での米軍。1941年12月8日まであと数か月の状況です。次にアジア各地のレポート。ハイバル峠(パキスタンとアフガニスタンの間にある峠)を越える、バリ島素描、上海の恐怖、上海のユダヤ避難民、面沙を脱いだトルコの女。最後にドイツの航空工業や自動車統制について、といった内容です。
詳しい画像はこちらからどうぞ。
https://peace-aichi.com/pdf/20230523_chishikisekai.pdf
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