◆所蔵品から◆資料ナンバー7930 新聞切り抜き綴り 「独・波」の話
資料班



新聞切り抜き綴り 独・波

新聞切り抜き綴り 独・波 表紙

 これからの企画展の準備で、資料を探している時に偶然見つけました。
 横幅9センチくらいの小さいものです。右端を糸で綴じてあります。
 「昭和十四年九月」「独・波」「ワルソー渙落近くまで」と、読めます。 「渙落」は「陥落」かもしれません。
 「独・波」「ワルソー」「昭和十四年九月」、先月の「所蔵品から」をお読みくださっている方は、先月も見たよそのワード、とお思いかもしれません。
 独はドイツ、波はポーランド。第二次世界大戦の始まるあたりの新聞の切り抜きを、今月はご紹介します。
参考:先月の記事「所蔵品から 資料ナンバー9682~9684 写真ニュース速報、  第二次世界大戦の始まりの話 」

新聞切り抜き綴り 独・波

新聞切り抜き綴り 独・波

 最初のページです。左下に「九月六日」と書き込みがあります。大きい文字で国名「リトワニヤ」「東プロシヤ」「ポーランド」「ドイツ」が書かれています。東プロシヤとポーランドの間の海に面しているところ、斜め線で塗られている所が「ダンチヒ」です。
 ポーランドの、海に面しているところは、東からも西からも狭められていて細長くなっています。「廻廊地方」という文字が書かれています。
 ポーランドにとっては海に出るために失いたくない土地、ドイツにとっては飛び地の東プロシヤへ行くときに通らねばならない土地です。
 このコラムのタイトル、「ルブリン市」は地図の右下、アンダーラインが付いている所です。永くポーランド第2の都市だったルブリン市は、その位置を「ロヅ」に奪われた、と書かれています。

新聞切り抜き綴り 独・波

新聞切り抜き綴り 独・波

 次のページからも地図や要図(戦況を書き込んだ地図)が続きます。次のページには「九月二日」と書き込みがあります。
 「ト」の字を横にしたような形が向きあっています。白がドイツ、黒がポーランド軍です。黒い太陽のようなマークは、「独機爆撃地点」です。首都ワルソー(ワルシャワ)にも爆撃のマークがあります。
 「ダンチッヒ」のそばの海には「封鎖」の文字があります。

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新聞切り抜き綴り 独・波

 「独波戦況概見図」(九月六日現在の情勢)とタイトルがついています。
 ワルソーからルブリン(太字になっています)に矢印が伸び、「遷都」と書かれています。

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 「九月七日現在 独波戦線略図」です。
 炎のマークがあるのは「爆撃炎上停車場」です。黒い「ト」がドイツ軍です。西のドイツ、北東の東プロシヤのほかに、南のスロバキヤからもドイツ軍が攻め入っています。

新聞切り抜き綴り 独・波

新聞切り抜き綴り 独・波

 こちらは「十四日、戦況」。7日後の状況です。
 黒い「ト」は、ワルソーを離れ、ルブリンをとり囲んでいます。
 白字の「ポーランド」の「ド」の下あたあたりに「波軍ココニ潰ユ」(ポーランド軍ここに潰(つい)える)と書かれています。また、南の方には「独軍ヴ河ヲ各部隊渡河 ルブリン包囲圏ニ入ル」と書かれています。その近くにある黒線が「ヴイツスラ河」(ヴ河)です。

新聞切り抜き綴り 独・波

新聞切り抜き綴り 独・波

 「独波戦況 九月十七日現在」です。
 ワルソーはすでに丸(ドイツ軍を表す)で囲まれ、ルブリンが「ト」の字に包囲されています。
 地図の右(東)端には、「ソ連」の文字があります。連の字は「聯」と書かれています、といいたいところですが耳へんに「井」となっています。
 先月ご紹介した写真ニュース速報によると、「ソ連軍は十七日より続々波領に進入を開始」となっていますので、ソ連軍がポーランドに進駐を開始する直前の状況という事になります。

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新聞切り抜き綴り 独・波 西部戦線

 ドイツとポーランドの状況についての記事はここまでです。この後はドイツの西側の国境、「西部戦線」の記事がまとめられています。
 

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「ピースあいち第9回寄贈品展 来て見て伝えよう戦争の記憶」
2月26日(土)15時で終了です。
ご来場くださった皆さま、ありがとうございました。



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