◆所蔵品から◆資料ナンバー9682~9684 写真ニュース速報、第二次世界大戦の始まりの話
資料班



展示室

展示の様子

 今月も、「第9回寄贈品展 来て見て伝えよう戦争の記憶」で展示中の資料からご紹介します。

展示室

展示の様子

 壁にすき間なく貼られた写真ニュースです。合計82枚あります。

同盟写真ニュース

同盟写真ニュース 第二次世界大戦!

 その中の1枚に近寄ってみると、「英・独軍 行動を起す 第二次世界大戦!」
 1939年9月6日のニュースで、9月3日の開戦を伝えています。
 今回展示している写真ニュースの中から、ヨーロッパの第二次世界大戦の始まりを伝えるものを、ご紹介していきたいと思います。

展示 同盟写真ニュース

展示

同盟写真ニュース 1939年7月4日 暗澹たる戦雲孕むダンチヒ!!

同盟写真ニュース 1939年7月4日 暗澹たる戦雲孕むダンチヒ!! 部分

 すこし引いた画面でご覧いただきます。中央に「第二次世界大戦!」があります。
 左上は「暗澹たる戦雲孕むダンチヒ!! 独精鋭部隊の出動態勢成る」(1939年7月4日)、右上は「風雲急を告ぐダンチッヒ 波蘭の苦悩愈々深刻」(1939年8月4日)と見出しがついています。
 宣戦布告の2か月前と1か月前。ドイツ(独)と、「ダンチヒ/ダンチッヒ」と、「波蘭」の関係がきびしくなっています。
 「波蘭」はポーランドです。「ダンチヒ」は、当時は自由都市ダンツィヒ、今はポーランドの都市グダニスクです。
 ドイツは、飛び地になっていた東プロイセンへの通路になるポーランドの沿岸部分と自由都市ダンツィヒに入り込もうとしていました。
 7月4日の写真は鍵十字のついた旗をかついでダンツィヒの内部を行進しているナチス突撃部隊、8月4日の写真は国境に集中しつつある波蘭(ポーランド)機械化部隊です。戦車か大砲を積んだトラックの列の写真です(ひとつ前の写真の右上)。

同盟写真ニュース 1939年9月16日 欧州大戦勃発第一報 対波軍事行動の独の第一弾

「展示」写真左上 同盟写真ニュース 1939年9月16日 部分

 黒い煙、見出しは「欧州大戦勃発第一報 対波軍事行動の独の第一弾」です。記事の最後に「9月3日 伯林発信」とあります。「伯林」は、ベルリンです。
 写真の下に1行、何か書いてあります。右から左の横書き。読んでみると、「輸送経路:伯林-紐育間無線電送・紐育-桑港-グアム島間空送・グアム島-サイパン島間船便・サイパン島-横浜間空輸:日航森村氏携行」
 ベルリンから、ニューヨーク(紐育)、サンフランシスコ(桑港)、グアム、サイパンと渡って、横浜まで写真が届けられました。

展示 同盟写真ニュース

展示

同盟写真ニュース 1939年9月20日 果然ソ連波領に進駐 注目される今後の動向
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同盟写真ニュース 1939年9月20日

 少し時間が進んだところをご覧いただきます。
 右上:独機ワルシャワ空爆に 愕然たるロンドン市民!! (1939年9月16日)
 中上:果然ソ連波領に進駐 注目される今後の動向 (1939年9月20日)
 左上:ワルソー防衛軍投降 東部戦線最後の段階へ (1939年9月20日)
 ポーランドの首都ワルシャワ(ワルソー)は空爆され、イギリスでも「WARSAW BOMBED」と号外が出ました。
 9月17日にはソ連(ソビエト連邦)軍がポーランドに進駐を開始します。

同盟写真ニュース 1939年 戦火を避けて独領へ 悲惨なる波蘭農民の群
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同盟写真ニュース 1939年

 「戦火を避けて独領へ 悲惨なる波蘭農民の群」
 「ドイツとソ連に攻め込まれたポーランドから農民たちがドイツ領へ避難していく」という記事です。

 ここからは余談です。
 背景を調べている途中で、いろいろ発見がありました。
 ポーランドと自由都市ダンツィヒの場所を調べるために地図を見たら、ドイツの飛び地、東プロイセンの向こう側の国はリトアニアでした。カウナスという地名を見つけました。カウナスは聞いたことある。杉原千畝がいたところです。西を見ればドイツ、東の方にソ連、ポーランドもすぐ近く。こんなとこにいたのか、と思いました。
 もうひとつ、ドイツの飛び地にケーニヒスベルクという都市があります。七つの橋を渡って一筆書きができるのか?の、ケーニヒスベルクですよ。
 ケーニヒス(王の)ベルク(山)というのはボヘミア王オタカル2世を記念してつけられた名前だそうな。……と調べていて気付く。オタカル2世の名前はどこかで見たことがある。
 チェコ生まれの画家ミュシャの大作「スラヴ叙事詩」全20作(2017年に日本で展示会)の解説で見ました。20作品のうちの5番目が、「ボヘミア王プシェミスル・オタカル2世 — スラヴ王朝の統一」でした。
 子供のころに読んだ本にあった一筆書きの問題と、数年前に知った「スラヴ叙事詩」がケーニヒスベルクでつながる!のを今回発見しました。


 お知らせ
 「ピースあいち第9回寄贈品展 来て見て伝えよう戦争の記憶」 
 2022年2月26日(土)までです。
 今回ご紹介した資料を含む、115点を展示します。
 感染の状況によっては休館となることがあります。 ホームページ などでご確認ください。



詳しい画像はこちらからどうぞ。
https://peace-aichi.com/pdf/20220121_shashinnyu-su.pdf

ピースあいちウェブサイトの、所蔵品の紹介のページからも、バックナンバーの関連画像が見られます。よかったらこちらもどうぞ。
https://peace-aichi.com/objects/