◆所蔵品から◆資料ナンバー5974 少女俱楽部附録 少女物知り宝典の話
資料班
少女物知り宝典 1938年8月発行
今回は、現在の企画展「少女たちの戦争―青春のすべてが戦争だった」で展示されている資料からご紹介したいと思います。
「少女俱楽部附録 少女物知り宝典」。赤い襟のセーラー服の少女が表紙です。
裏表紙は鉛筆の広告です。こちらにもおかっぱの髪型にセーラー服の少女。夏のお出かけです。「さァさ行きましょうキャンプだ!海だ! お便りトンボで致しましょう」という文句が書かれています。
少女物知り宝典
表紙をめくって最初のページです。
裏表紙が鉛筆ならば、こちらには絵の具の広告がありました。
左ページは「少女の皆様へ」
「家事、お作法、体育、衛生、身だしなみ、その他ぜひ知っておきたいことを」絵入りで分かりやすく説明しています、というようなことが書いてあります。
この本の内容を覚えたら、「物知りになり、」「立派な少女になってお家の方や先生にこの上なく喜んで頂けるでしょう。」と続きます。女の子(に限らずですけど)は他の人に喜んでもらえるために賢くなるわけでもないんではないかと思うのですけどね。
少女物知り宝典 目次
目次です。どんな項目があるかご覧ください。
だいたい1ページに1項目、127ページまであります。
このあといくつか具体的に見ていただきます。
少女物知り宝典
「お作法」に関する項目です。
「目上の人と自動車に乗る時」は、「安全な運転席の後ろに乗っていただく」、「(降車の時は)お援けする心が必要」と書いてあります。「お援け」は、「おたすけ」です。
イラストはかわいらしくてちょっと大人っぽい感じですね。
少女物知り宝典
夏に関係ある項目のページをご紹介します。
「暑さにあたった時」「日焼けの予防と治し方」
暑さにあたった時の対策は、服をゆるめ、涼しいところに寝かせ、顔に冷たい水。
このページはさし絵の雰囲気が違っていて、サザエさん風というか漫画風というか、の感じになっています
ヨモギか菊の葉を塩でもんだ汁を飲むとか、梅酒を水か氷で薄めて飲むのが効くと書いてあります。
「日焼けの予防と治し方」では、きゅうりと牛乳と重曹と黒砂糖が出てきます。
(医学的な内容の物は80年以上前の本ですので今のスタンダードと合わないところがあると思います。)
少女物知り宝典
兵隊さん関連のものをごらんいただきます。
「英霊に対する弔慰電報」、「夏の慰問袋と冬の慰問袋」、「慰問袋に入れて喜ばれるもの」
「夏の慰問袋と冬の慰問袋」についてですが、夏に喜ばれるのは蚤取(のみとり)粉と汗知らず、冬は唐辛子です。唐辛子は靴下などに入れると血行が良くなり暖かくなります。汗知らずはパウダーです。
「慰問袋に入れて喜ばれるもの」のイラストは兵隊さん。慰問袋を開けて嬉しそうにしています。少女が出てこないレアなイラストです。
少女物知り宝典
兵隊さんの横のページでは頭を洗っています。「麺類のゆで汁で洗髪」。
最近でも、食器の油汚れにパスタのゆで汁というのは、見たことがあるかも。麺のゆで汁には汚れを落とす効果があるようです。
もうひとつ髪の毛関係「玉ねぎでフケを取る法」。
玉ねぎ1個をすりおろし、しぼり汁を1.8センチリットルのアルコールと混ぜる。
センチリットルはリットルの100分の1です。本文には漢字で「竰」と書いてあります。
それを頭皮にすり込み、日に当てて乾かす。日に当てるとにおいが飛ぶ。
……これは初めて知りました。試そうと思えばできてしまいますが。もっといい方法は80年の間に何かしら出てきていると思います。
(試してみようと思われた方、アレルギーなども考えられますので、安全性と効果についてよく調べたうえで試してくださいね。)
詳しい画像はこちらからどうぞ。
https://peace-aichi.com/pdf/20210823_monoshirishoujo.pdf
ピースあいちウェブサイトの、所蔵品の紹介のページからも、バックナンバーの関連画像が見られます。よかったらこちらもどうぞ。
https://peace-aichi.com/objects/