◆所蔵品から◆資料ナンバー6436 映画の案内ちらしの話
資料班
旭劇場週報 1943年6月24日発行
今回は、映画館が出していた上映案内をご紹介したいと思います。
「旭劇場週報」の「昭和十八年―第三十三号」、1943年6月24日の発行です。大きさは、縦12センチメートル、横25.5センチメートルくらいです。
「桃太郎の海鷲」には「この映画を決戦下の少国民に贈る!」とキャッチコピーが付いています。イラストの桃太郎少年は、飛行機用の服装をしています。これ、アニメ映画ですよね。
左の「川中島合戦」は、「七月六日公開」。こちらには「武士道の精華」「一大戦争絵巻」という宣伝文句が付いています。
武田信玄VS上杉謙信。戦国時代の合戦も「戦争」と呼んでいたようです。
「川中島合戦」のタイトルの下には「一寸待て言うて」(ここで改行)「良い事悪い事」
映画には関係ない標語でした。五・七・五のリズムになっています。
旭劇場週報 1943年6月24日発行 裏面
裏面もご覧ください。右端の囲みが「今週の映画」24日から30日。
まずは「日本ニュース 第一五七号」、ニュース映画ですね。
次が「文部省認定文化映画 体力は国の力」、そして「東宝超巨大篇 音楽大進軍」
主演は古川綠波。そのほかにも戦後も活躍した俳優さんがたくさん出演しています。
ニュースと「文化映画」、見たい映画の前に、国からのお知らせが付いてくるというような事でしょうか。
こちらの面に大きく載っているのは「姿三四郎」。 「明治初年 柔道草創の物語。」「待望の新人黒澤明 第一回演出作品!」
78年前は黒澤明が「期待の新人」だったのですね。
柔道というものが明治時代に作りだされたものだということも読み取れます。あんがい新しいような、そうは言っても約150年前なわけで、やはり伝統といえるのかしら。
旭劇場週報 1943年7月15日発行
少し飛んで、第三十七号です。
右側のイラストが「兵六夢物語」
「奇想天外、爆笑エノケン映画今年初の登場。」「珍演技と特殊撮影の競演!」
イラストは「エノケンを襲う狐の大群!」の場面でしょうか、しっぽが二股になっている狐(おでこに渦巻もついています)と、おかっぱの女性(両手で影絵の狐のポーズをしています)に囲まれたエノケン(榎本健一)です。
左側は「望樓の決死隊」
「現地人五千人の登場!」「極寒零下四十度」「妻も銃とり応戦す」「大活劇映画!」
そしてこちらにも片隅に標語「手近な奉公 まず防諜」
先ほどの三十三号は「ちょっと待て 言うて良い事悪い事」
どちらもスパイに気を付けて、という標語が入っています。
旭劇場週報 1943年7月15日発行 裏面
裏面です。右側の囲みは「今週の映画」
「日本ニュース 第一六〇号」、「文化映画 放送演奏室」、
それから「敵機空襲」という映画が紹介されています。
左側に大きく紹介されている「君よ共に歌はん」は右から左にタイトルの文字が書かれています。
俳優さんたちの似顔絵が載っています。
旭劇場週報 1943年12月1日発行
もう少し時間が進んで、12月の映画案内、「六十六号」です。
ぐっと戦時色が出てきたような。「愛機南へ飛ぶ」の横には「陸軍少年飛行兵募集」の囲み広告があります。「決戦の大空へ」は12月8日公開です。ついている標語は「行こう若人七つの海に」です。
旭劇場週報 1943年12月1日発行 裏面
裏面はこちら。
「今週の映画」は、「日本ニュース 第一八〇号」、「文化映画」は「北の健兵」。
それから「独トビス社超大作 世界に告ぐ」。ドイツが英国の非道を告発、という内容の映画らしい。1899年から1902年のボーア戦争の話です。
隣の囲みの「家光と彦左」も気になる。
「彦左」は、大久保彦左衛門です。
「笑いと涙の中に、強く心をうつ君臣の愛情!」
イギリスの執事が活躍する「ジーヴス」の小説みたいなのかな、と思ったのですが、全然違うかもしれません。
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