◆所蔵品から◆資料ナンバー9419 少年倶楽部1942年2月号
少年倶楽部に動物のお医者さん の話
資料班
寄贈品展 展示
今月も、「第8回寄贈品展 伝えていこう戦争の記憶」の資料からご紹介します。(残念ながら、2021年2月10日までは休館が決まっています。)
下の写真の、左下の白っぽく見えている本をご紹介したいと思います。(半透明の紙のカバーがついています。)
「少年倶楽部」1942年2月号。1941年12月8日の真珠湾攻撃のすぐあとの発行です。
「少年倶楽部」1942年2月号 表紙・裏表紙
表紙と裏表紙からご覧いただきます。
「戦ひ抜かう 大東亜戦」の文句と、古代の髪型「みずら」の少年のイラストです。「まがたま」の首飾り?をしています。剣道の胴みたいなのを身につけて、腰には剣を着けています。
裏表紙は広告です。「紀元節を迎へて 大政翼賛会」。2月号ですので、紀元節、今だと建国記念の日にちなんだ広告です。下のほうにさらに「明治製菓株式会社 献納広告」とあります。スポンサーは明治製菓です。
よく見ると緑色の地に白い梅の模様。2月らしいデザインになっています。
下は「三星えのぐ」。「色がキレイ スグ溶け 伸び良い」。
「少年倶楽部」1942年2月号 目次
目次です。
1941年12月の真珠湾攻撃のすぐ後の発行なので、「ハワイ襲撃の荒鷲を思ふ」「詩画集 大東亜戦」「あゝ十二月八日の ハワイ真珠湾軍港 大東亜戦争地図」「大東亜戦争の地理・歴史」といった記事が並びます。
そんな中で今回ご紹介したいのは、「名作童話 ドリトル先生船の旅 井伏鱒二」です。こんなところでドリトル先生に出会うとは。意外な感じがしました。
「少年倶楽部」1942年2月号 「ドリトル先生船の旅」
「ドリトル先生船の旅 井伏鱒二 河目悌二画」
現在売っている本では「ドリトル先生航海記」というタイトルになっています。作者はヒュー・ロフティング。この「少年倶楽部」版では、原作者については書かれていません。今でも岩波少年文庫では、井伏鱒二の訳で読めます。
動物と話ができるドリトル先生(獣医、イギリス在住)が、貝の言葉を研究するために船で旅立つ。船が出た後、密航者が見つかる、という場面です。
「ドリトル先生」って、小学校の学級文庫に置いてあって、人気があったのですが(←数十年前です)、今でも読まれているのでしょうか。
「少年倶楽部」1942年2月号 「動物病院をたづねて」
もうひとつ、動物のお医者さんの記事があったのでご紹介します。「動物病院をたづねて」。象の写真が載っています。上野動物園の獣医さんにインタビューした記事です。
「象のしもやけ」とか、「ペリカンがけんかをしてくちばしの袋が破れ、餌のドジョウが破れた穴から逃げてしまう」とか、興味深い話が出て来ます。
「今まで牛肉や牛乳で暮らしていたライオンたちも、鯨や鰯の代用食で、規則正しい生活をするからかえって丈夫なくらいです。」というコメントもあり、「代用食」というところが戦時中ならではなのかなと思いました。
絵本「かわいそうなぞう」「ぞうれっしゃがやってきた」で描かれたように、動物園で猛獣が殺されるのは翌年の1943年以降のことです。
目次でもうひとつ気になる項目がありました。
「智恵の一太郎ものがたり 消えた足跡 小松龍之介」。これ、なんだかミステリーっぽい。ちょっと読んでみたくなります。(調べたら、小松龍之介は、江戸川乱歩の別名だそうです。)
詳しい画像はこちらからどうぞ。
https://peace-aichi.com/pdf/20210121_shounendolittle.pdf
ピースあいちウェブサイトの、所蔵品の紹介のページからも、バックナンバーの関連画像が見られます。よかったらこちらもどうぞ。
https://peace-aichi.com/objects/
ピースあいち第8回寄贈品展 伝えていこう戦争の記憶
展示期間 2021年2月27日まで
2月10日までは休館が決まっています。
2月11日以降の開館の状況については、
電話(052-602-4222)、 ホームページ、 ツイッター でご確認ください。