◆所蔵品から◆資料ナンバー7330 名古屋汎太平洋平和博覧会画報の話 その2
資料班
名古屋汎太平洋平和博覧会画報 表紙・裏表紙
先月ご紹介した汎太平洋平和博覧会画報。
汎太平洋平和博覧会は、1937年に名古屋港の北で行われました。(3月15日から5月31日まで)
今月も続けて、先月ご紹介しきれなかったところをご覧いただきます。テーマとしては、案内書き、科学技術、各地の風物、東京 です。
名古屋汎太平洋平和博覧会画報
まず、交通案内。
「名古屋駅から省線臨港線で6銭」(省線はのちの国鉄。今はJR)各地から会場直通のバスと市電が出ています。「一分間に一台」
とか、「一日三十万人の輸送能力」とか、かなり大規模の博覧会だったようです。
細かいところですが、名古屋市の北のほうにある大曽根駅、「おおぞね」って読みます。
でもこの案内では「おおそね」になってる。80年前は「おおそね」だったのでしょうか。
名古屋汎太平洋平和博覧会画報
観覧料は60銭。さきほど出た臨港線の料金の10倍にあたります。5000倍すると入場料3000円で片道交通費300円、今ならこれくらいか、という金額になります。この後でも金額が出てきたら5000倍すると、今ではどれくらいか、という感じがわかると思います。
12歳未満の子どもは半額。子ども以外に、軍人(制服着用の現役下士官兵)も半額。夜の入場はさらにそれぞれの半額です。
園外観覧料にも、子どもと軍人の割引があります。
下段の「場内催物」は外国大演技と、演芸館。先月ご紹介した、サーカスと名古屋踊りでしょうか。
名古屋汎太平洋平和博覧会画報
この博覧会、色々なパビリオンが出ています。その中から、自然科学系のものをご紹介します。
上段左は透明人間館の「透明人間」。解説によると、「ドイツ・ドレスデン衛生博物館で約四万円で特製した世界に二つしかない透明人間が科学の神秘を物語っている」
上段右が保健衛生館「人体化学工場」。「日本最初の試作で「人」の活動を電機仕掛けとネオンで克明に説示する」
下段は近代科学館の、「約十万円余を投じたという」「直径二十八尺の大地球儀」。直径約8.5メートルです。
名古屋汎太平洋平和博覧会画報より
各地の風物に触れられるのも博覧会ならではの楽しみです。
朝鮮館、満州館、台湾館が載っているページをご紹介します。満州館にも「サービス嬢」(案内係の女性)がいたようです。
名古屋汎太平洋平和博覧会画報より 海外館のページ
こちらのページでは「シャム館」と「蘭領印度支那館」の外観が見られます。
名古屋汎太平洋平和博覧会画報より
その次のページの「アバイ 内地の集会所のようなもの…海外発展館」。三角屋根に魚の模様。これどこかで見たことある。
ピースあいち・メールマガジン28号丸山豊さんの記事の「パラオで考えたこと」に出ている写真「シニア・シチズン・センター」。これと同じように屋根の下の三角のところに魚の模様が付いていました。
名古屋汎太平洋平和博覧会画報より
最後にご紹介するのは東京館。
双葉山と玉錦。力士の「等身胸像」
その下が「第十二回オリンピック東京大会競技場の模型」です。第12回、1940年の東京オリンピックは戦争で中止になっています。
詳しい画像はこちらからどうぞ。
http://www.peace-aichi.com/pdf/20181021_hakurankai1937_2.pdf
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http://www.peace-aichi.com/objects/