資料ナンバー6359 「昭和十九年度 海軍志願兵の栞(しおり)」の話 資料班
海軍省が発行した書類です。
前年(1943年)に徴兵年齢は20歳から19歳に、さらに17歳に引き下げられ
ています。大学生や高等師範学校の生徒に対する徴兵の猶予も、廃止されてい
ます。赤紙で、どんどん召集が行われています。そんな昭和19年に、志願兵。
なんでか。
海軍は、基本的に志願兵で人員をまかなうものらしいです。人手不足の時のみ、
徴兵で補うのだそうです。この「栞」も、「我が海軍はなぜ志願兵の徴用に重き
を置いているか」が、最初に書かれています。
この書類によると、志願できる年齢は
◇水兵(少年水側兵・少年警備兵)は14年8か月1日以上19年未満
◇少年飛行兵は14年8か月1日以上20年未満
◇一般水兵・警備兵・機関兵・工作兵・衛生兵・主計兵は15年以上21年未満
◇軍楽兵は16年以上20年未満
となっています。
徴兵年齢に達しないような若い人を志願兵として集めていたようです。
それぞれの兵種の職務の説明もあります。
たとえば、「主計兵」というのは、事務・経理の仕事だけでなく、食べ物や着る
物の管理も仕事でした。新入りはまず炊事、というようなことも書かれています。
また、必要な技術を学ぶ学校についても詳しく載っています。
「志願者心得 一、準備」というところを見てみましょう。
5項目あります。おおよその内容は、
イ) 予備検査や予備教育には進んで出ること。
ロ) 国民学校高等科と初等科5・6年の数学と読書を復習しておくこと。
ハ) 身体の鍛錬に心がけること。軽い病気は治しておくこと。
ニ) 品行を慎み精神の修養に努め、海軍軍人となる心構えでいること。
ホ) 検査前日は風呂に入り体を清め、耳や鼻の内部をよく掃除しておくこと。
「志願者心得」は「一」から「四」まであります。「一」が上に書いた「準備」
です。
「二」は旅費について。国から出るそうです。
「三」は持ち物。青年学校手帳・通信簿・鉛筆・ナイフ・消しゴム・弁当・風呂敷。
「四」は、「検査開始時刻に必ず遅れぬこと。」これ1行だけ。
学科試験の問題例も載っています。「国民学校高等科修了程度」の、数学(40 分)と読書(20分)の試験です。(国民学校は、初等科6年の後高等科が2年あ ります。)
ピースあいちのウェブサイトの「収蔵品の紹介」のページから、画像を見るこ
とができます。そちらもあわせてご覧ください。
http://www.peace-aichi.com/20100417kaigunshiganhei2.pdf
http://www.peace-aichi.com/05_objects.html
(こちらは、「収蔵品の紹介」のページです。)