「戦後80年」と「現代の戦争」から平和を考える
岐阜県山県市歴史民俗資料館 岡山 敏明
「過去に眼をとじることは、結局のところ現代に対しても盲目である。」と言います。今現在世界で進行している戦争を、自分の中にどれだけ豊かな感受性をもって受け止められるか。それは、日本の子どもならば、日本が経験した80年前の戦争をどれだけ真摯に学べたかにかかわっていると思うのです。今までの私たちの活動は「平和を歴史から学ぶ」をモット-にしてきました。
しかし、今年はピ-スあいち様と、チェルノブイリ救援・中部様のご協力により、「ウクライナの戦時下のこどもたちの絵画展」を「平和学習展」の中に組み込み、日本の過去の戦争とウクライナの現代の戦争をリンクさせ、自分の国の過去とウクライナの現在を同時に学ぶ機会をセットすることができました。
日本の戦争を知った上で、ウクライナの子どもの絵画に触れたときそれをどう感じたのか、見学に訪れた中学生の一口感想を紹介します。
私はウクライナの子どもたちの作品を見て、戦争のおそろしさ、平和の大切さを感じました。幸せな日常をいっしゅんで消し去って何もかもうばってしまう戦争がどんなに苦しいことか、想像するだけでも絶望するのに、今その戦争がウクライナで起きていることに心を痛めます。また、戦争をしていない日本で暮らしている私たちが戦争についてさらに知り、「戦争はしてはいけないもの」という心をもち、ウクライナの平和を望み、平和を守っていきたいと思いました。
私は、ウクライナの子どもたちが描いた作品を見て、作品を通じてこどもたちが見ている景色を伝えてくれているんだなと思いました。どの絵においても戦車などが用いられており、より戦争のひどさというものが感じられました。また、ウクライナの子どもたちの絵は、どれも今の状況のことを描いていて、早く平和が戻って来ると良いなと思いました。
日本にも戦争があることを思いだして、苦しむのは大人だけでなく子どもも同じで、大人より子どもの方が苦しんでいるのかなと思うととても心が苦しくなりました。
今回の展示を通じて、歴史を見つめる眼を現代に転換させることの大切さを学べたような気がします。ある課題を考えるときの最適解は、そこに至るまでの流れや歴史を客観的に捉え評価した上で行わなければならない、そのことを改めて強く感じた次第です。
今後も、戦争展示の専門館「ピ-スあいち」様から学ばせていただく所存です。
