第12回寄贈品展に寄せて
ボランティア 中西 千晶
私には戦争で亡くなった大伯父がいます。ピースあいちでボランティアをするきっかけも、大伯父の遺品を寄贈したことでした。同時に、寄贈品の受け入れを担当する資料班に入るきっかけにもなりました。
レイテ島に残るコンクリートハウス
先日、フィリピンに行く機会があり、レイテ島を訪問しました。大伯父はレイテ沖海戦で亡くなっており、沈没箇所には行けなくとも近くを訪れてみたいと思っていたのです。
訪れたレイテ島は想像と違って私の出身地、香川県の瀬戸内の風景によく似た穏やかな場所でした。町の人も優しく、住みやすそうな町です。ちょうど80年前、日本人だけでも8万人が亡くなった島とはとても思えませんでした。
あまり戦跡は残っていませんが、日米両軍が戦い、今も砲弾跡の残るコンクリートハウスと呼ばれる場所を訪れました。
看板などの案内は何もなく、歴史を知らなければただの廃墟にしか見えません。私有地のため、入り口の警備員さんに声をかけて入ります。大きな砲弾跡がいくつもあり、当時の激戦を感じさせます。一方で風化も進んでおり、あと何年崩れずに見られるのだろうか?と思いました。
周りには芝生や花が植えられ、建物にはバスケットゴールが引っかけられていて今は平和の象徴のようです。このコンクリートハウスがいつまでもバスケットゴールとして平和に使われるよう、これ以上私の大伯父のように戦争で亡くなる人が出ないよう祈るばかりです。
第12回寄贈品展チラシ
12月からは寄贈品展が始まります。年を追うごとに、寄贈者の方も寄贈品の詳細が分からないということが増えてきました。
伝える努力をしなければ、戦争を今に伝えるものはコンクリートハウスのように風化していってしまうだろうと感じます。
この機会にぜひ寄贈品展にお立ち寄りいただけましたら嬉しいです。