ピースあいちで「博物館実習2024」

ボランティア・学芸員  岡村 裕成





 例年恒例になっている博物館実習が今年も実施されました。今年は社会人になってから学芸員資格の取得を目指す方もいらっしゃったり、歴史学ではない理工系の学生がいたりと、これまで以上に実習に来た方の幅広さに驚かされました。
 今年のピースあいちの学芸員実習は、7月20日から9月3日の間に10回。平和資料館の特色を生かし、
①ピースあいち内の学芸員およびスタッフの業務の体験と考察(寄贈資料の登録・整理、ガイド、受付や会場巡回業務、イベントの補佐)
②平和博物館の役割、15年戦争の実相などの講義
③実習課題の提出(企画展の計画とプレゼン、展示コーナーのガイド発表)などを行いました。

 実習生それぞれの個性も強く、専門外でも過去の学生があまり触れてなかった分野に積極的に学んで自分の発表に生かしたり、過去のピースあいちの活動を調べて自分のやりたい発表につなげたり、中には独自の視点でピースあいちへの改善点を見つけ出して発言をしたりと、指導しているこちらが学ぶことや気づかされたことが多くあったように思います。
 ただ、せっかくの個性の強さのわりに、最終日の発表が全体的に真面目な到達点になったことはこちらの反省すべき点だったと思います。

以下は学生の所感の抜粋です。

「なるべく史実と中立的な立場で話せるように心がけたが、誰かの考えの一部に私がするガイドが影響されるかもしれないと思うと、伝える責任の重さについて気づくきっかけにもなった」

「自分たちのような若い世代と、ボランティアの方の世代と、かなり離れているケースが多かったので、双方にとって異なる年代の人と話して、価値観の交流を行うことができて、とても有意義であったと感じました」

「課題を通して、学芸員の求められるスキルの幅の広さが身に染みて分かったが、場数を増やし慣れることで理想像に近づけると感じた」

「体験談は貴重な資料である反面、個人の記憶によるところが大きく、感情に訴えることができるものの、『何故』という疑問には答えうるものではない…(中略)…それを補うものが記録資料/公的文書であり、どちらもバランスを取りつつ、平和の作り方を来館者と考えていける場所にしたいと思いました」


 今回の経験を活かして、さっそく次の自分の活動につなげている方もいます。実習に参加した方のさらなる成長を見られたらと思います。