企画展「沖縄から平和を考えるー辺野古の海は今」
   6月23日「沖縄慰霊の日」のイベント企画
ボランティア  吉田 稔




 

 企画展「沖縄から平和を考えるー辺野古の海は今」の関連イベントとして、6月23日沖縄慰霊の日に「トークと映画会」を開催します。この映画会は毎年、緑区の小島敬さんが映画の費用を寄付してくださり開催しているものです。
 今年は、小島さんのお薦めの映画、『島守の塔』(2022年製作)を上映することになりました。企画展を準備してきた名古屋市立大学の阪井芳貴先生(名古屋市大名誉教授・沖縄県美ら島沖縄大使)に映画の解説(トーク)をお願いしました。

 実は、私はこの映画を見てなくて、今回の上映会で初めて見ることになります。急ぎ、原作となった田村洋三著『沖縄の島守~内務官僚かく戦えり~』(中公文庫)を図書館で借りて読みました。ここのポイントは、ふたりの人物です。
 ひとりは、沖縄戦のわずか2カ月前に大阪府の内務部長から、なり手のない『官僚最後の沖縄県知事』に敢然と赴任、在任5カ月足らずの間に県民の疎開や食糧調達、戦場での避難誘導に全力をあげた末、43歳で沖縄南部・島尻の丘に散った兵庫県出身の島田叡(あきら)知事です。
 もうひとりは、島田知事より1年7カ月前に沖縄県警察部長(現在の県警本部本部長)として赴任した警察部長・荒井退造。当時の知事や同僚部長が沖縄から逃げ出すことばかり考えていたのをしり目に、県民疎開、県民保護の下地を作り、44歳で島田知事と運命を共にしました。彼は現在の宇都宮市出身で、この映画の配給元が栃木県の「下野新聞社」であることに合点がいきました。

 映画は、太平洋戦争末期の沖縄を舞台に命や平和の尊さを描いた戦争ドラマ。「鉄の暴風」と呼ばれた激しい空襲や艦砲射撃、そして上陸戦により、初めての地上戦で、約20万人が犠牲となった太平洋戦争末期の沖縄戦です。押し寄せた艦船は約1300隻、戦闘部隊兵力は18万3000人、後方の支援部隊を合わせると45万の大軍でした。絶望の淵に立たされながらも「命こそ宝」と訴え、後世に希望を託した2人の人物と、戦争に翻弄される沖縄の人々の姿を描き出します。名作映画「ひめゆりの塔」(1953年製作)に出演した香川京子も出演します。