“あの花”の原作者汐見夏衛さんに会えた!◆高校生ボランティアの感想
5月14日、「なごや平和の日」制定記念特集「戦争をどう語り継ぐ?“あの花”と若者たち」がNHKで放映されました。その中で、映画にもなり大ヒットした『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の原作者・汐見夏衛さんのインタビュー収録が5月5日、ピースあいちで行われました。
汐見先生(左から2人目)と
この本を読み、映画も見たというピースあいちの高校生ボランティアは、この収録の日、「汐見先生に会える!」とスタンバイ。3人の高校生の「突撃インタビューです!」の感想です。(3人はこの特集番組に登場しました。)
●ボランティア 山口 奈々
先日、『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』など、多くの名作をこの世に出してこられた汐見夏衛先生とお会いする機会をいただき、汐見先生の熱いお気持ちを聞かせていただく中で、戦争に対する意識がより強くなり、もっともっと戦争について知っていかなければならない、そのために自分にできる、誰かの役に立てる、そんな行動をとっていかなければならないと強く感じました。
いくつか質問をさせていただく中で、私がいちばん心に残ったのは、「他人事として考えている人が多く、もっと自分事として考えるべき」という、私たちが今後考えていかなければならない課題の一つを私たちに投げかけてくれた汐見先生のメッセージです。
私も含め、この時代に生きている若者の多くは、戦争というものが教科書に書いてある歴史上のひとつの出来事としてしか考えていないように思います。
その結果、何万人もの人が死んだ、こっちの戦争ではもっと数多くの人が犠牲になった、と言ってしまう。それでは、その戦争で犠牲になった方を、数として、ひとつのデータとしてしか見ていないことになる。そして、戦争で亡くなられた方、犠牲になられた方の映像や写真を「気分が悪くなる」ことを理由に、見ないという選択肢を選ぶ人が多くなっている。これが今の現実だと思います。
この現実から逃げてもいいのでしょうか。この現実でしょうがないと済ましてよいのでしょうか。この映像はグロいから見られない、気分が悪くなるから見たくない、そんな言葉を、実際に戦争を体験された方に伝えられるでしょうか?
ただただ数字やデータで戦争を考えるのではなく、数でまとめられた多くの犠牲者一人ずつにスポットライトをあてて、この人には戦時中何があったのか、私がこの人だったらどう過ごしていたかなど、もっと自分の置かれている環境と結び付け、今世界で起こっている様々な問題と繋げて考えていくべきなのではないでしょうか?
私は今の現実を変えたいです。そう思えたのは汐見夏衛先生の小説や映画に込められた熱い気持ち、汐見先生の口から出る魂のこもった言葉があったからです。 こんな影響力のある汐見先生とお会いできて、感謝してもしきれない。かけがえのない思い出は、私の今の活力、原動力となっています。
●ボランティア 黒田 千尋
5月5日日曜日、『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(以下「あの花」)や『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』などの作品で知られる、小説家の汐見夏衛先生のインタビューがピースあいちで行われました。
ひょっとしたら汐見先生とお話できる機会があるかもしれないという淡い期待と、あの汐見先生とお会いできるという緊張で頭の中が混乱する中、先生がいらっしゃいました。
先生のインタビュー中の様子は拝見することができませんでしたが、インタビューの前後に少しだけお話しすることができました。先生は私たちの話を、目を見ながら一言一言丁寧に受け取ってくださり、その包容力と優しさに深く感銘を受けました。
また、サインと写真も撮っていただき、その飾らない気さくなお人柄がとても素敵だなと感じました。
その日は、先生にお会いできたこと以外にも、同じボランティアの方々と戦争に関連する話をしたり、先生のインタビュー終了後に、高校生のボランティア三人で「あの花」の感想を話すというインタビューを受けたりして、とても充実した一日を過ごすことができました。
そして、この一日を通して改めて、自分の思っていることをまっすぐに話せて、聴いてもらえるという今の私の環境が、どれほど恵まれているのかを再認識できました。
ピースあいちに来るようになる以前は、戦争に関連する話題に関心があることも、戦争の記憶を継承していくことに関心があることも、家族以外には話したことがありませんでした。友人が、”私”ではない人が、戦争についてどう考えているのか聴いてみたい気持ちはありました。ですが、急に真面目な話をして、友人にどう思われるか分からないことや、軽くあしらわれてしまうかもしれないことが怖くて、私は勇気を出せなかったのです。
でも、ピースあいちに来るようになってからは、様々な立場の方の戦争に対する意見を直接聴けて、私の意見を聞いてもらえるようになりました。このことは当たり前のことではありません。だからこそ、今の私が置かれている、戦争に対する意見交換ができる、当たり前ではないこの環境に、感謝しなければいけないと思います。
戦争は、誰かの喜び、幸せ、そこにあった日常を不条理に奪ってきました。そして今もなお、だれかの命を奪い続けています。「戦争はいけない」このことを理解している人はたくさんいると思います。そして、「戦争が起こってほしくない」そう思っている人もたくさんいるはずです。
ただ、思っているだけでは今の戦争がある世界は変わらないでしょう。だからこそ、私は一人一人が意思と関心を持ち、戦争に反対する声を上げること、このことが戦争のない世界に繋がる第一歩なのではないかと考えます。
「あの花」が若い世代に戦争への意識を向けさせてくれたように、私は、戦争に関する話を身近な人とできて、意見を交換し合えて、そして誰もが声を上げられる、そういう世界を作ることに微力ながらも貢献していきたいです。
自分自身の行動と発言に説得力を持たせられるように、これからもたくさんのことを学び、成長していきます。
●ボランティア 山内 あおい
こんにちは!山内あおいです!
またまた貴重な経験をさせて頂き本当にありがとうございます。
「あの花が咲く丘で君とまた出会えたら」
映画を初めて観たのはボランティアを始める前の12月、原作者の汐見さんとお話ができるとは思ってもいなかったです。
「特攻は無駄死に」
タイムスリップした現代の高校生が、特攻兵にかける言葉です。
自ら命を国のためにと散らす行為。悔しいけど実際にあったこと。「無駄」という言葉は強烈で、もし私がタイムスリップしていたらと考えた時、これから出撃する彼らにその言葉をかける勇気はなかったと思います。
戦争を体験された筧さんはあの花のこの場面に「私もあれくらい強く言えたら」と仰っていました。(NHKの方からお聞きしました。)
思ったことを言える時代、なにより戦争はダメという平和教育が行われているから言えたことだと。
「無駄」という言葉の意味を考えていく中で、もっと特攻について知りたいという気持ちが生まれました。
作者の汐見さんも「無駄死に」という言葉を悩みながら書き、興味を持って欲しい部分と仰っていて、若い世代へのメッセージも含まれていたのだと驚きました。
これからの「戦争」との向き合い方はとても難しいですが、映画館が若い世代で溢れ、多くの人が涙を流している、絶対に戦争の悲惨さや今の生活のありがたさが伝わっていたと思います。
私もその1人です。映画の中で感じた戦争の惨さ、違和感。観るだけで終わらせては勿体ないと思います。汐見さんは、平和な世界を創るために、各地で起きている悲惨な出来事をもっと自分事として考えることが大切と仰っていました。私が授業を受けている時、友達と遊んでいる時にも苦しんでいる人がいること。ずっと考えていると、自分も苦しくなって難しいことですが、遠い場所で起きていることを考えることは大切だと思います。
汐見さんから貰ったバトンを次へ繋げていけるように、知識を増やし、様々な考え方をして、平和を創ることに貢献したいです。