2024年5月14日「なごや平和の日」に
名古屋空襲の犠牲者を追悼する日協議会委員
戦争と平和の資料館ピースあいち館長   宮原 大輔  






                                           
 

 「なごや平和の日」の制定を心から歓迎し、このために根気強く努力を重ねてきた方々、特に若い方々に対して深く敬意を表します。

 地域に根差した資料館として、ピースあいちは開館以来毎年、名古屋空襲に関する企画展を開催し、慰霊行事を行ってきました。
 今年は「名古屋空襲を知る―名古屋平和の日制定に寄せて(3月12日-5月18日)」を開催し、名古屋空襲の実態、東邦高校生徒が作成したパネルによる同校平和活動、戦争体験者の話を聴き平和について学んだ同校美術科生徒たちの作品を紹介しています。
 東邦高校は、勤労動員中に名古屋空襲で犠牲になった学生のことを忘れまいと慰霊を続け、同校の生徒会は2014年から名古屋空襲慰霊の日の制定を市に申し入れてきました。

 

 名古屋空襲の犠牲者は、日本が引き起こした戦争が敗北を重ね、挙句の果てに本土空襲に見舞われ、名古屋が焼け野原になるほどの空爆の下で、避難することもままならず、爆弾の直撃を受けて、あるいは迫りくる炎の中で死んでいった市井の老幼男女です。その数8千人超。
 この人々は自らの意思で死を選んだのではありません。日本が戦争をしなければ、失われなかったはずの膨大な命です。その無念を思うとき、私はいつも言葉を失います。

 「なごや平和の日」を本当に意味のある記念日にするために、私たちはどうあるべきでしょうか。

戦争によって命を失ったり重い怪我を負ったり家族を失ったりした、幾千幾万の人々の無念を永く語り継ぎ忘れない。

彼らの経験から学び、その教訓を平和な社会づくりに生かしていく。

そして、これから先、国のために死ぬ行為を誰かに強いる人や、死を尊い犠牲などと美化する人が現れたら、その都度強く批判し反対し続ける。

 

 この世の中に、捨てていい命、捨てるべき命などないのです。
 決して戦争をせず平和を保つ努力を続けること以外に、おびただしい犠牲に報いる道はなく、それこそが私たちの取るべき道徳的行為であると考えます。

 

 こうしたことを、今一度心に刻む一日であってほしいと願います。