ボランティア雑感◆新時代の息吹 開館17周年に寄せて
ボランティア 桑原 勝美
今月は開館17周年に当たる。開館当初からの展示の基本構成は、常設展示と企画展示である。
常設展示は、先人たちの幾多の苦難と大きな犠牲の姿を伝え、平和な社会を創るべき使命感に気づかせてくれる場である。また、折々の企画展示は、実話に基づいた漫画や文学作品、歴史的な解説記事など多彩な資料を通して、平和の尊さを知らせてくれる。
開館以来、小中高校生や中年者、戦争体験者など沢山の来館者を迎え、体験談や展示ガイドによる生の声を届けることができた。そして、戦争体験者を県内の学校に派遣し、平和教育に協力してきた。当館が充実した活動を展開した17年だったと言えよう。
だが、10周年より前から気にしていたことがある。ボランティアの世代交代の話だ。開館当時から活動してこられた方々が引退されたり、高齢化に伴い体調不良を来たしたりする。年齢構成からだけではなく、企画や運営に関わるアイディア創出の面からも、新しい方々の参入が是非とも必要だと考えていた。
ボランティア仲間と(左から2人目が筆者)
ところが、10周年のころから多くの新しいメンバーが加入された。なかでも最近参入された若い世代の方々の活動が注目されている。高校生、大学生のボランティアが次世代交流チームや戦後80年プロジェクトの会議に参加して、斬新な意見を出しておられる。
ハード面でも新時代の息吹が見られる。常設展示にWi-Fiを利用するQRコードの英語版の解説が登場した。新メンバーの参入を得て、日本語による解説をより平易表現に直し、それを適切な英語に翻訳するという手間と時間のかかる作業が完遂されたのである。「平和を紡ぐ」という言葉の中身を実感できる事柄であろう。
さらに、新たに加入されたボランティアにより、従来活躍の機会が少なかった2階の映像コーナーに、「紙芝居方式」とでも言える新規な映像群が導入された。2023年の「新美南吉展」に合わせて設置されて以来、親しみ易い映像が展示内容を補強してくれている。
当館が豊かに生まれ変わる実像を見ることができる喜びは、とても大きい。