バイリンガルプロジェクトに参加して
ボランティア  近藤 世津子





 

 「ピースあいち バイリンガルプロジェクトに参加しませんか」とのお誘いをいただき、「私のサビついた英語力で務まるだろうか」と不安を覚えながらメンバーに加えていただきました。
 その後1年余りをかけて「常設展示の英語化」がようやく完成に近づき、間もなく来館者がQRコードを読み込んで、展示説明を英文で読むことができるようになります。
 プロジェクト事務局の高橋さん、全体を通して監修をしてくださった西形さんを始め他のメンバーの並々ならぬ頑張りによって、ここまで辿り着いたわけですが、私自身も様々な学びがあり、とても意義深いプロジェクトであったと感じています。

 

 翻訳過程での苦労・工夫談は、英語が達者な他のメンバーにお任せするとして、私からは少し違った視点での感想を述べたいと思います。
 まずは、至極当然のことなのですが、「英文への翻訳には元となる日本語文の深い理解が不可欠」ということです。わずか数行の文章を翻訳するにも、背景にある事象や事情を十分理解し、それを踏まえて訳さなければ正確な翻訳とは言えないのです。私は、自分が担当したパートの作業をする中で、いかに過去の出来事を正しく深く理解できていなかったかを痛感し、改めて歴史を学ぶ大切さを認識することとなりました。

 そしてもう一点、今回「日本語」について再認識することが多々ありました。例えば、英語では主語が常に明確にされますが、日本語は主語が略されることが多いです。それでも文脈から何となく理解できてしまいます。また、戦時中の体験談を読むと、今では使われなくなった文体や言葉が多く出てきます。時代を遡ると、さらに異なる表現や言葉があります。日本語は時代とともに大きく変わってきたのだなあ、と今更ながら感じ入りました。
 日本に生まれて、これまで特に意識することなく使ってきた日本語ですが、これを契機として、改めて「日本語」を見つめ直し、丁寧に使っていきたいと思うようになりました。そして「国語辞典」を久しぶりに買ってしまいました!

 

 12月には、今回のプロジェクトを総括する交流会「はじまるよ!ピースあいちの国際化」が開催されました(3月に2回目の交流会を予定)。参加してくださった皆さんからは、幅広い視点からの貴重なご意見をいただき、今後のピースあいちの「国際化」にはずみがついたのではないでしょうか。
 「国際化」とは何だろう?ピースあいちがどのように変化すれば、世界中の方たちが興味・関心を持ってくれるのか?答えは簡単ではありません。しかし、ようやく緒についたプロジェクトです。これからの取り組みによって、海外の多くの方たちがピースあいちの活動に共感してくださる日がきっと来る、そう思っています。そして、それが世界平和の実現に寄与する、と信じています。