2023年を振り返って
事務局長  赤澤 ゆかり



 

 昨年のクリスマスイブは大雪になり、予定していたピースあいちの大掃除は中止。でも、「それでは気が済まない」というボランティアさんのご意見で、2023年を迎えてから大掃除をしました。今年は、朝チラチラ雪が舞って心配しましたが、多くのボランティアさんが参加して新年を迎える準備ができました。(その後、資料班が来年のイベントの相談をしていましたけれど。)

 行動制限を余儀なくされていたコロナは5月にインフルエンザと同じ5類になり、街に賑わいが戻っているようです。ピースあいちは、団体の来館が少し増えましたが、小中学校からの来館がまだ戻っていない状態です。インフルエンザも流行っているので、気を緩めないようにしたいですね。

 ピースあいちの企画展は、市民のみなさんから寄贈された寄贈品展で年末年始を迎えます。第10回の1月は「寄贈品展‐つなげていこう平和への願い(2022.12.6-2023.2.25)」、第11回の12月は「寄贈品展‐戦争が遺したモノたち(2023.12.5-2024.2.24)」(今号に記事があります)。オープン時に数人の寄贈者に来ていただいてお話をうかがいました。皆さんが褒めてくださるのは、寄贈品の受け入れ方です。
 「丁寧に話を聞いてくれて、故人と寄贈品の関係を明らかにしてくれる」「一つひとつ心を込めて展示してくれている」。こんなご意見を多くいただきます。私も、資料班の寄贈品の受け入れ方は、ピースあいちが誇っていいものだと思っています。大切に、次の世代に伝えていきましょう。

 3月からは名古屋空襲展「地図と写真で見る名古屋と戦争(3.7-5.6)」。明治から昭和にかけて発行された地図からは、軍施設や軍需工場がどんどんつくられていく様子がわかります。ところが、ある時からそれらが消えていきます。地形も変わっていきます。同時期に米軍が作成した精巧な日本地図と比べると、いかに独りよがりで愚かな戦争だったかが読み取れるのでした。

 準常設展「沖縄から平和を考える(5.16-7.8)」では、沖縄本島を含む南西諸島の軍事要塞化についてのコーナーを設け、本土であまり報道されないまま、ミサイル基地や爆弾庫などの施設がつくられ自衛隊が配備されている現状を紹介しました。
 また10月22日にはボランティア有志で、三上智恵監督の新作ドキュメンタリー映画『沖縄、再び戦場へ(仮)』の制作を応援するスピンオフ作品上映会を開きました。作品は、戦争の準備より戦争を起こさない努力をするべきではないかと訴えていました。


 夏企画は「新美南吉の生きた時代―文学と戦争と平和」。メルマガにもいくつか記事を載せました。ボランティア18名が2年間、勉強しながら、時には意見を戦わせながら、いろいろなアイデアを出しあって、新美南吉を新しい側面から紹介できたのではと思います。
 2階の映像コーナーが南吉展を契機に活用できるようになったのも、ピースあいちにとって大きなことでした。様々な特技を持つボランティアさんのお力によるものです。

 準常設展「子ども展―戦争の中の子どもたち・戦争と動物たち(10.3-11.25)」では、特別展示として「戦争孤児」のコーナーを設けました。「戦争孤児」については今まで何度も企画展の会議で検討されましたが、実現に至っていませんでした。子ども展チームの頑張りで、ピースあいちの語り手さん、語り継ぎ手さんとも結びついた素晴らしい展示になりました。

 

 映像コーナーの活用、オンライン会議や配信の充実、語り継ぎ手の会(リボン)の活動も、今年の注目点に挙げられます。


 さらに、常設展示を英語翻訳し展示する「バイリンガル・プロジェクト」もほぼ翻訳が終わり、次の段階に入っています。来年3月には、館内Wi-Fiを利用して、常設展示の英語訳がスマホやタブレットで観ていただけるようになる予定です。パネル、証言、資料の解説など、膨大な量の日本語のテキスト全部を16人のボランティアチームで翻訳したのです(今号に記事があります)。お疲れ様でした!
 12月9日に第1回交流会「TALK & TALK―ピースあいちの国際化って?」を開催。翻訳作業をする中で気づいたこと、国際交流とは?など、意見交換をしました。3月9日には第2回交流会「TRY & TALK それぞれが考える戦争と平和」を開催、希望者50名を無料招待し、英語の常設展示を体験していただく予定です。詳細は、決まり次第HPなどでお知らせします。
 こうした企画のキャッチコピーを「はじまるよ!ピースあいちの国際交流」It starts here! Peace Aichi International Exchange としました。

 来年が、世界中の人と「非戦・平和」について語りあえるピースあいちの交流元年になりますように。
 戦いを終わらせ、手をつなぎ合える年になりますように。