ピースあいちの博物館実習 2023年
ボランティア(学芸員)   岡村 裕成






 

 今年も7月15日から9月9日まで10日間の博物館実習を行いました。中部大学、愛知学院大学、そして今回初めて愛知県立大学からの学生を受け入れました。

 実習は、NPO平和のための戦争メモリアルセンターの理事による講義、資料の取扱い・活用等の実習、企画展示の作業、イベントの司会、展示ガイドの発表、企画展案の発表などなど、ピースあいちのボランティアのみなさんと交流しながら行いました…。
 専攻も大学もバラバラでありながら、学生同士の仲も良く、休憩時間の間ですら、講義の振り返りや実習での反省をしているなどの真面目な姿も頻繁に見ました。また、コロナ禍でなかなかできなかった、戦争体験を聞く時間での司会進行や名古屋市内のフィールドワークの実施など、学生の学びや経験を深めることもできるようになって、学生が「博物館実習」を強く実感できるようになったかと思います。


 また、今年は名古屋市立大学のインターンシップの学生の研修時期とも重なっていて、これまで以上に大学の垣根を超えた交流をしている場面もあり、より仲良くなっている印象が強くありました。夏の新美南吉展での準備や片付けでの共同作業や、実習の最終日での学生の発表でも意見交換している様子も見受けられました。


 学生の感想としては、「平和博物館の現状と課題の講義で、私が展示を見た際に考えられることと関わっている側で考えていることが違い、私がもう一度学び直す必要があると感じた」という、ピースあいちでの講義を通じて自分が新たに得たいと思ったことについて書いていたり、「民設民営で、ボランティアで全てをまかなっているからこその雰囲気やボランティアの方々にとっての生涯教育の場を提供している博物館としての役割といった視点でピースあいちを考えることができた」。また「正規の学芸員として働くという選択肢以外にもピースあいちのようにボランティアとして博物館の運営に携わるといった選択肢もあることを知った」と、今後の学芸員としてのかかわりの可能性にも目を向けたことを書いていたりと、ピースあいちでの実習だったからこそという感想、考えを得てくれたと思います。

 今年は、専攻研究の面で自分自身が疎い分野を学んでいる学生がいたこともあり、自分も学生から戦争におけるマイノリティ(少数派)の存在への注目と実態、15年戦争の始まりになった中国との戦争などへの学びや見直しもさせてもらえた絶好の機会になりました。
今後の展示企画などでも活かせると思うので、改めて自分自身、視野やアンテナを広く持って相互に意義のある実習をこれからも続けたいと思いました。