子ども企画展「戦争の中の子どもたち」「戦争と動物たち」が始まります
特別展示「戦争で親をなくした子どもたちー戦争孤児をしっていますか」
ボランテイア  上田 有見子






 10月3日から今年も、子ども企画展「戦争の中の子どもたち」「戦争と動物たち」が始まります。そして、特別展示では「戦争で親をなくした子どもたちー戦争孤児をしっていますか」を取り上げます。

 空襲や原爆で家族も家も失った子、日本の植民地、占領地であった満州や南の島からの引き揚げ途上で家族を全員なくしてしまった子、学童疎開中に都会に残った家族が全員死んでしまった子など、戦争孤児になってしまう理由はさまざまです。
 その孤児たちは、日本の敗戦記念日の8月15日までは「靖国の遺児」、とくに兵隊のお父さんが戦争で亡くなった場合には、村を挙げて守るという立場でしたが、8月15日以降はそのたがが外れて、弱肉強食の世の中に放り出されてしまいました。ですから、駅に集まってきて、物乞いをしたり時には盗みをしたり、モク拾い(タバコの吸い殻を拾い集め、ほぐして1本のタバコに再生して売る)や靴磨きをして生き抜きました。
 「浮浪児」と呼ばれ、世の中からのいじめや差別にも苦しみました。餓死者も多く、孤児たちにとっては8月15日以降、命がけの日々が始まりました。

 子どもたちはなぜ駅に集まってきたのでしょうか。子どもたちに対して国はどんな援助をしたのでしょうか。どんなことをしてお金を得て、どんなものを食べて、病気になった時にはどうしていたのでしょうか。寒い時期にはどうやって過ごしていたのでしょうか。子どもたちを助けてくれる施設はなかったのでしょうか。
 戦後78年が経ち、その孤児たちも、孤児たちを必死に助けようとした方々も、少なくなっていく中での証言や写真等を展示します。

 孤児になった子どもたちが、悲しみ、苦しみ、そして怒りを抱えながら、絶望の淵に立ち、それでも生きていったということを視覚から感じ取っていただけるように、イラストも用意しました。戦争を知らない世代の親子、父親の藤井勇樹さん(43歳)と長女の藤井萌愛さん(15歳)が描いてくださいました。
 世界で戦争がある限り、孤児になる子がいます。幼い子に戦争の責任はありません。
 10月3日からはじまるこの企画展示をみていただき、二度と戦争孤児を生みだすことのない、平和な世界にするために私たちは何をなすべきかを考えていただければ幸いです。

     『世界では今も、爆弾が落とされている。
          なぜ私たちは止められないのか。』