「あとかたの街」の舞台を追体験する
運営委員(次世代交流チーム) 原田 拓郎
左:次世代チームの街歩きの様子 右:ピースあいちでの撮影
ピースあいちの若手主体チームである私たち次世代交流チームの最初のイベントが、名古屋出身の漫画家・おざわゆきさんが描いた「あとかたの街」の主人公あいちゃんたちが昭和20年3月19日の空襲で逃げ惑った足跡をたどり追体験をするというものでした。
それから5年。今年8月15日終戦の日放送の番組内で、イベント同様に足跡をたどり、名古屋の街にも78年前の戦争で空襲があり、多くの命が失われた事実を伝えたいというお話をいただきました。
撮影の当日、東海テレビの高井一アナウンサーとピースあいちボランティアで高校2年生の黒田千尋さんと3人で、あいちゃんの自宅付近から水を求めて新堀川を目指し、その途中に入ることを拒否された防空壕があったであろう付近を経て、舞鶴橋、鶉橋、鶴舞公園へ、暑い名古屋の街を歩きました。
現風景の交差点で立ち止まり、入ることを拒まれたあいちゃんたち、入れることを拒んだ中の人たち双方の感情を想像したり、新堀川にたどり着いたときに舞鶴橋から見た光景の描写を見ながら、そのときどう思っただろうかと話して、変わり果てたその街に思いを馳せました。
戦後の復興からその後の日本の発展とともに名古屋の街も大きく変わり、戦争や空襲があったことを日常的に感じることは難しくなりました。それでも、名古屋にたくさんの人たちが暮らしていて、そこに戦争が入ってきたことで、生活が一変し多くの命が失われたことは事実です。
マンガ「あとかたの街」単行本5巻の表紙絵に描かれているように、あいちゃんたちが生きた時代があり今の名古屋の街があるということを、決して過去を過去として切り離すのではなく、過去の積み重ねの先に未来があり、あの戦争の時代を経て今があり、私たちはその上で生きているということを知り、考えなければいけないと改めて感じました。