2023年の年頭にあたって
館長 宮原 大輔
新年明けましておめでとうございます。
今年は戦後78年を迎えます。この長い年月を日本は戦争をしませんでした。
日本は自らが起こした戦争でアジア諸国に甚大な被害をもたらしたことへの深刻な反省から、憲法で「戦争を放棄し」「戦力は保持しない」「国の交戦権は認めない」と定め、専守防衛こそが日本の進むべき道だとしてきたのです。
しかし、現在政府は敵基地攻撃能力を持って、軍事予算を5年で2倍にしようとしています。日本は再び戦争の道を歩むのでしょうか。今年は大きな岐路に差し掛かっているようです。
ピースあいちの目的は戦争体験を次の世代につなげて、日本が再び戦争をしないこと、そして日本と世界の平和を実現していこうとするものです。
ピースあいちで、特に戦後75年の節目の年から力を入れてきた戦争体験の語り継ぎの活動は、戦争体験のない戦後世代が、次の世代に戦争のことを継承しようとするものです。戦争体験者のお話しを聞くことが年々難しくなる中で、この活動に若い世代の方々が参加して、小学生などに戦争体験を語り継ごうとしています。ピースあいちにとってこの活動は今こそ大切な取り組みだと思います。
昨年ピースあいちでは館内にWiFiの環境を整備しました。展示スペースは限られていますが、スマホやタブレットを活用して、価値のある情報を閲覧することができるようになります。
すでに戦争体験の語りの映像を館内で視聴できるようになりました。また、常設展示のすべてを英語で視聴できるようにしようとしています。これらによって、狭い展示空間が大きく拡がることになるでしょう。英語化は今後1年かけて翻訳を進め、来春に稼働することを目指しています。
企画展は今年も魅力的な内容でみなさんをお待ちしています。特にこの夏には生誕110年を迎える新美南吉の展覧会を開催します。新美南吉は半田・岩滑で生まれ、「ごんぎつね」や「手袋を買いに」などの作品で多くの人々に親しまれてきました。童話作家・新美南吉の世界に触れていただけるよう、現在多くのスタッフが展示の準備を行なっています。どうぞご注目いただくよう願っています。
運営面では、事務仕事の大変さをはじめ課題はいろいろありますが、ピースあいちの原点である、市民に支えられた、NPOによる平和博物館として、今年も努力を続けたいと思っています。ピースあいちは、来館者をお迎えすること、みなさんがピースあいちを活用していただくことがなにより大切なことと思っています。どうぞピースあいちにご来館ください。
今年も一層のご支援をお願いして新年のご挨拶といたします。