戦争は過去のものではない
弥富市立十四山中学校教員  中野 雄大


 

 平田和香さんが紙芝居で語る満蒙開拓団の悲劇を聞いた。「満蒙開拓」とは何かを全く知らないままに耳慣れない地名を聞きながら、国家の思惑に翻弄された一般の民衆が、どれだけの困難を抱えて生活し、命を賭して帰国を目指したのかを初めて知った。
 また、2階や3階の展示では、直視することがはばかられるほどに現実を突き付けてくる写真や資料、事実を目にした。ガイドをしていただいた方の思いのこもった話ぶりからも、今を生きる人にとって戦争は過去のものではないというメッセージを受け取った。
 短時間の滞在ではあったが、戦争についての知見を広げ、未来について真剣に考える機会とすることができた。

生徒の感想 (抜粋)
・日本による爆撃で亡くなった中国の人の死体が積み上げられている写真が印象に残った。満州の話を聞いたときも、この攻撃も、国どうしがやっていることに国民が巻き込まれたようで、無駄な犠牲だと思った。無差別爆撃や虐殺は国が滅んでいくだけだし、悲しむ人の数の方が、満足している人たちより圧倒的に多いと思った。
・戦争は、どちらが勝っても両方の国の人がどこかで悲しい思いをすることになると感じた。
・何人もの人が亡くなっていくのに、それでも戦い続けてまた死者を増やすのはおそろしいと思った。
・満州国から帰国し、戦争がない場所へ戻っても、一度戦争を目の前にしたら、心の中でずっと傷が残る、という話が印象に残った。戦争をしているときも終わった後も、恐怖に襲われることがなくならないと知って胸が痛んだ。
・戦時中は感覚がおかしくなりそう。いきなり戦争に行けと言われたり、体調を崩したらいらないもの扱いされ、最終的に戦死は名誉だ、などと周りが言っていたら自分がおかしいと思えるだろうし、洗脳されているみたい。
・日本から中国に行くときには全てを捨てているから、日本に帰ってきたとしても苦痛が続くという話が印象に残った。帰国のときには「やっと日本に帰れる!」と思うかもしれないけれど、苦痛が続くのはいやだ。
・2階に展示してあった「命の壁」に書いてあった「眼をそらさないでください。これが戦争です」を見て、確かに自分自身眼をそらしていることがあったので、その言葉がとても心に刺さった。
・人の死体が一列に並べてある資料を見てとても驚いた。沖縄の資料を紹介してくださっているときの服部さんの目に涙が見え、本当に戦争はおそろしいものだし、終わっても心の傷は消えないということが改めてわかった。