『戦争と平和の資料館 ピースあいち』のみなさまへ
広島平和文化センター 被爆体験伝承者  甲斐 晶子



                                           
 

 2022年9月、愛知県豊川市の小坂井高校での伝承講話を終えて、「ピースあいち」を見学することができました。
 私は広島の平和記念資料館(原爆資料館)で被爆体験伝承者として、また、ピースボランティアとして活動しています。約10年前に研修に入り、3年間の研修ののちに伝承者になりました。以来、広島市を中心に、全国の学校などに行って講演をしています。どこかに出かけた時には、その土地の戦争や平和に関する施設や遺跡を訪れ、勉強しています。


見学中の筆者

 「ピースあいち」に行った時の第一印象は、明るい建物とスタッフの皆さんのさわやかな熱気でした。私設の資料館にもたくさん行きましたが、こんなにスタッフが和気あいあいと楽しそうに話したり仕事をしたりされているところは少なかったと思います。というのも、多くの施設で施設の老朽化やスタッフの高齢化が進んでいて、少し雰囲気の暗い感じのところが多かったからです。

 今回は2階の展示をゆっくり見学いたしました。感想は一言で言って、ここには必要なことが網羅されている、視点が的確で、見学者を引き付ける内容だということでした。
 私は、戦争に関する資料館で絶対に必要なことは、その戦争がなぜ起きたのかという過去の史実をあきらかにすること、被害だけではなく、加害にもきちんと目を向けることだと考えます。
 さらに、戦争は過去のことではない、今おこっている問題なのだ、自分のこととして戦争をとらえなくてはならないと思います。ここを訪れた若い世代の人々が、過去を知り、平和のために何ができるかを自分事として考え、それを行動に移していくということが最も重要なことだと思います。

 帰りに『ピースあいち開館10周年記念誌』をいただきました。広島に帰って開いたときに、本当にすごいと思いました。何もないところから、多くの方々の強い志がこの資料館を創ったということに感動しました。お金がなくても、希望と英知を結集して、ここまでのことができるのだと。
 今、被爆者が高齢化し、経験者無き後、ヒロシマをどう継承するかということに模索していますが、ここにその答えがある、自分も頑張ろうと勇気づけられました。
 思いは同じ。できれば皆さまと手をつないで平和のために活動させていただけたら幸いです。ほんとうにありがとうございました。