「見て・聞いて・触れてみよう 日本文化」◆ピースあいちで
7月30日、愛知学院大学文学部日本文化学科の体験プログラムの一企画として、1年生を中心に12名がピースあいちを訪問しました。
午前中は1階で、松下哲子さんの体験談「私の在満少国民体験」をお聞きして後、2班に分かれて常設展と企画展「戦争プロパガンダ」を交替で見学。うち2名は昼食をはさみ、午後の関連イベント「蓄音機で聞く軍歌・戦時歌謡」を視聴しました。参加者の感想から…。
松下哲子さんが語る体験談
原田 未来 (はらだ みく) さん 1年生
今回お聴きした松下哲子さんの体験談「私の在満少国民体験」は、満州国での暮らしという、過去に私が聴いたことのある戦争体験談とは違う視点からのお話でした。松下さんが話の最後に仰っていた「亡くなった人たちは何万という数に括(くく)られて、一人ひとりの人生は見えてこない」という言葉がとても印象に残っています。
また、戦時中の日本が行ったプロパガンダ広告や印象操作に使われた新聞記事などをこの目で見ることで、当時の生活の一部を垣間見ることができました。加えて、焼夷弾の子弾の殻や手動式のサイレン、ガスマスクに触れさせていただき、戦争の生々しさを体感しました。
こうした体験談や展示を通して、遠いもののように感じていた当時の歴史を近くに感じることができました。
今日ここで見たもの、聞いたことを忘れず、改めて「平和とは何か」について自分で考えようと思います。
ポスターの解説を聞く学生たち
采女 紗弓 (うねめ さゆみ) さん 2年生
私がピースあいちを見学したいと思った理由は、まず、戦争の話を聞きたいと思ったからです。戦争体験を聞く機会は、できるだけ逃すべきではないと思いました。二つ目は、私がポスター好きだからです。内容は戦争を推し進めようとするものですが、デザインはかわいくて好きです。
松下哲子さんのお話は、つらかったことだけでなく、楽しかったことについても触れられていて、これまでに聞いてきた戦争体験とは違う魅力がありました。
松下さんは、満州での文明的で豊かな生活が、中国人を踏みつけにしたものだったとおっしゃっていました。中国人への差別として、日本人と同じ車両に乗ることができなかったというものがあり、私は中学の教科書に載っていた「ベンチ」という作品を思い出しました。ユダヤ人は、ドイツに住む他の人々と同じベンチに座ることができませんでした。私は、他人事として、ナチスはひどいことをするものだとしか思っていませんでした。ですが、日本人も同じことをしていたと知って、衝撃を受けました。
2階の展示室での説明は聞いていてつらかったです。特に小林多喜二の話が恐ろしかったです。私は国語便覧を読むことが好きなので、「蟹工船」「プロレタリア文学」など、関連して思い出すことができる言葉はありました。また、拷問により虐殺されたことも書かれてありました。ですが、ただ読んだだけだったのだと実感しました。お話を聞いて、小林多喜二という人についてより強いイメージができるようになりました。
蓄音機のコンサートも面白かったです。そのくぐもったような音は、テレビ越しでなら聞いたことがありましたが、直接聞くと感動しました。1930年から1950年頃の日本にいた人たちが全く同じ音を聞いていたと思うとわくわくしました。また、今回は戦意高揚ですが、音楽が人々に与える影響の強さを知りました。
たくさん知らなかったことを知ることができて、本当に良かったです。