ボランティア雑感◆「終戦の月に思うこと」
ボランティア 中西 千晶
8月は原爆の日、終戦の日など、現代の日本人にとって最も戦争に触れる機会が多い月ではないでしょうか。
私事ではありますが、学生時代に史学を専攻し、日本近現代史を学んでおりました。また、15年戦争を体験したり、亡くなった身内もおり、現代の20代の中では比較的、戦争の話題に触れることが多い環境で育ってきたかなと思います。
資料班で資料整理をする筆者
そんな折、昨年、戦争で亡くなった祖母の兄の遺品を寄贈する目的でピースあいちを訪れ、そのままボランティアを始めることになりました。この大伯父はレイテ沖海戦で戦艦扶桑に乗艦、21歳の若さで亡くなっており、私が近現代史に興味を持ったきっかけの人でもあります。
徴兵されるまでは台湾や上海に行き、貿易関係の仕事をしていたようです。アルバムに残る大伯父の写真はどれも笑顔で、そんな若者がたくさん亡くなったことを考えるととても胸が痛くなります。
多くの方が亡くなった15年戦争終戦から77年。自分が20代の間に大国が大規模な侵略戦争を起こすとは思ってもいませんでした。東アジア情勢も不穏で、国内でも国防費の増額が議論されています。侵略されるかもしれないという危機感から国防力を高めるという流れは、まるで近代化してからの日本の歴史を見ているようで末恐ろしく感じます。
近年、SNS等で若い世代に戦争容認の意見が見られるようになっています。戦争を体験した世代の方がどんどん少なくなるなか、私たち若い世代が戦争について、より理解を深めていくことが大切だと感じています。「戦争が起こるということ=自分や身近な人が人を殺し、殺される可能性があるということ」だと忘れてはならないと思います。
一方で、同世代~下の世代に対して戦争の話をすることに難しさを感じることが多々あります。理由の1つとして、学校の授業において近現代史は特に暗記が多く、また授業時間の制約もあり、初めから苦手と感じてしまう方が多いことが挙げられます。ピースあいちがそんな若者にとっても訪れやすく、戦争について理解を深められる場になればいいなと思っています。
原爆が落とされ、終戦を迎えた8月。今一度、平和について考える月にしたいと思います。