「戦争プロパガンダ~国民を戦争に向かわせた宣伝たち」◆関連イベントのご紹介

                                           
 

展覧会場の様子1

 

「蓄音機で聞く軍歌・戦時歌謡」 7月30日(土)13:30~15:00 1階交流のひろば

 

 軍歌といえば『露営の歌』とかが思い出されますが、『隣組』は軍歌でしょうか?…それは違います。戦争中の歌でも『露営の歌』は軍歌で、『隣組』は戦時歌謡と呼びます。愛国心を讃(たた)え戦意高揚を目的とするため、今では公的な場で歌われたりすることはまずありません。
 しかし、これらは当時の作詞・作曲家・歌手が精魂込めて作り上げたもので、歌曲として完成度の高い作品でもあります。戦時中の歌という理由で否定することは理解できますが、封印されたまま永久に日の目を見ないのは残念な気持ちがします。

 

 そこで、今回は「ピースあいち」という平和を希求する場で、そのような歌曲に触れる機会を作りました。多くの歌曲の中から、特に親しまれたものを選びましたが、戦争を美化する意図は全くありません。当時の日本人が、このような歌曲を耳にして破滅に進んでいったという事実を心にきざみ、同様のプロパガンダに惑わされないようにする必要があると考えます。
 当時のSPレコードを使用して蓄音機で聞いていただくことで、戦時下の人々の想いや気持ちを感じ取っていただければ幸いです。 (井上雅紀 )



展覧会場の様子1

 

「紙芝居から振り返る戦争のころ」 8月20日(土)13:30~14:30 1階交流のひろば

 紙芝居は太平洋戦争前から、子どもたちに親しまれていました。自転車に木枠の舞台をのせて子どもたちを集め、アメを売って見せる街頭紙芝居がはやりました。ゲームもアニメもない頃ですから子どもたちは楽しみにしていました。
 1938年には日本教育紙芝居協会が設立され、戦争に協力する国策紙芝居が、子どもや大人対象にたくさん作られ、上演されました。

 

 この企画では、「ピースあいち」に所蔵されている紙芝居の中からいくつかを上演します。「戦争に協力する心を育てる作品」を視聴し、国策のプロパガンダとしての役割を考えてみます。

 

 ひとつは「若櫻」。太平洋戦争開戦時(1941年12月8日 真珠湾攻撃)の特殊潜航艇の任務を果たした「9軍神」の一人の生きざまを扱ったものです。「軍神」にまつり上げられる主人公 古野繁実ですが、軍神の一人としての役割を立派に果たしたと描かれる紙芝居は、事実と異なります。子どもたちに広められていった作品に隠されているウソは何か見ていきます。

 

 もう一つは、「戦ひの子ら」という子どもたちを対象に作られた紙芝居。友だち思いのけなげな孝夫少年は、戦地に父親が行って、母親が病気の友人を助けます。いつでも「助け合う」行為は大切です。現在のようなコロナの時も感染症予防には国を超えて広く「助け合う」ことがとても重要です。その「助け合い」がこの紙芝居では、なんとも居心地悪く感じるのはなぜでしょう。「助け合い」が、国策と結びつき、人の心にしみとおっている様を上演作品から体験します。

 

 この夏は、戦時の紙芝居をとおして、当時の人々の気持ちや本当に大切なことは何かについて考えてみませんか。 (高橋よしの)