企画展「戦時下の地震―隠された東南海・三河地震によせて◆「あれから10年…震災展を再び」
ボランティア(学芸員) 岡村 裕成
3月8日から開催している企画展「戦時下の地震―隠された東南海・三河地震」展。戦時に発生したことで、報道がほとんどされないままだった1944年12月の東南海地震、1945年1月の三河地震を中心に取り上げた企画展です。 この企画展は、2012年の同じ時期に実施した「戦争と震災」展がベースになっています。とはいえ、以前のものとまったく同じにはなっていませんし、そうならないような工夫もあります。
大きな特徴の一つが、桜井純氏が描いた三河地震の体験画です。展示しているのは一部ですが、描いた絵画と文章、三河地震の被災痕跡の写真を含めて50点以上があります。(全部の画像は館内でQRコードから見ることができます。)これらの絵画は安城市歴史博物館で、戦後75年企画として展示されたもので、今回、大きなご協力をいただけました。
また、半田市立博物館からもご協力をいただきました。当時、半田市の職員がたいへんな苦労をされて残した「被災状況の実物写真ファイル」と「画像」を展示することができました。
このように協力をいただけたことに感謝ですが、一方で過去の震災展で使った写真なども再申請する必要が出てきたことが大変でした。10年も経ったことで、申請先が変わっていたりして所在がわかりづらくなっていたものもありました。それに加えて、個人的に今回は県外からの活動になり、時間的な制約もあったのが大変でした。
それでも、いろいろな方の理解や協力を得られたことで無事に実施できるところまで至れたのは本当に感謝です。
この10年で福島へ何度も訪れ、原発事故後の現状も知ることができ、戦時の震災との共通項、相違点なども理解が深まり、教訓をより広げなければならないなということも実感できました。戦時下の地震の実態、救援や報道のあり方を考えたいと思います。