新 年 雑 感
NPO平和のための戦争メモリアルセンター 理事長  鈴木 秀幸

                                           
 
展覧会場の様子1

 

 新しい年になりました。初代野間美喜子館長が2019年6月に理事長になられ、2020年5月から、その理事長を引き継ぎました。
 野間先生は、毎年「新年雑感」として、憲法問題について発言されていました。山下智恵子(作家)さんが、野間先生の遺稿集(風媒社出版)の「あとがき」で、「彼女にとって一生のテーマとなった平和憲法との出会いは、あまたの犠牲者を出した酷(むご)たらしい戦禍がやんだ後の小学校の一年生の時である」と書き記しているように、野間先生は、平和憲法擁護の人生を貫き通されました。
 そこで、私も、憲法9条改憲問題について、最も根本的なことについて、一文を寄せることにしました。

 1946年の憲法制定時、当時の吉田茂首相は、憲法9条2項により「一切の軍備と国の交戦権を認めない結果、自衛権の発動としての戦争も、また交戦権も放棄した」と語り、自衛戦争も否定し、一切戦力を保持しないとしました。
 その後1954年に自衛隊が設立されると、当時の鳩山一郎首相は「自衛のための必要最小限度の武力を行使することは認められている」と、自衛のための必要最小限の戦力は保有できると変更しました。それでも、他国に加えられた武力攻撃に加担することは、憲法上許されないとしました(集団的自衛権の行使の否定)。
 ところが、2014年7月、安倍晋三元首相は、閣議決定により、限定的ではあるが、集団的自衛権の行使を認めるとしました。そして、2017年に憲法9条の改憲を打ち上げ、自民党は2018年に9条の2として「自衛隊明記」の改憲案を提示しました。
 2021年の総選挙は、改憲政党の維新が伸び、護憲政党の立憲民主が減少しました。国会議員は「自衛隊明記」の改憲賛成が過半数を超えていますが、国民の意識(世論調査)としては、それに過半数が賛成しているわけではありません。また最近、「台湾有事は日本有事」、「敵基地攻撃」、「軍事費1%枠から2%へ拡大」など、憲法の平和主義に違反するような状況が拡大しています。

 

 こうした動きを受けて、ピースあいちでは2月から、憲法9条改憲問題について連続勉強会を持つことにしました。
 今年の夏には参議院選挙もあります。たいへんな年になると思いますが、力を合わせて乗り切っていきたいと思います。今年もピースあいちをよろしくお願いいたします。