一年を振り返って
館長 宮原 大輔
2021年が間もなく終わろうとしています。
前年に始まったコロナ感染症拡大は2年目となりましたが、終息の見通しは立たず、気の休まらない1年となりました。
年末からのコロナ第3波の中で迎えた新年でしたが、1月14日から2月10日まで休館となりました。開催中だった寄贈品展の会期の途中で、コロナによる2回目の休館でした。
それでも、前年に予定していた企画展を1年遅れになりますが、順に開催していこうと、オンライン会議も使いながら、それぞれのチームで準備が進められました。3月の「福島を忘れない!被災地に寄りそって10年」展の開催に漕ぎ着けることができて、その後も順次企画展を開催することができました。
2月には1階事務スペースの間仕切り壁ができました。完全に区切るのではなく、見通しも確保しました。事務所側には収納棚が新しく設けられました。
昨年3月に前館長の野間美喜子さんが亡くなられましたが、コロナ禍のなかで、ピースあいちとしての追悼式を開催することができずにいました。ようやく5月9日の日曜日に「偲ぶ会」を開催することができました。会にはピースあいちの関係者のほか、野間さんと縁のあった多くの方々が参列して、野間さんを偲びました。この日に「追悼文集」が完成し、会場で配られました。偲ぶ会の開催に合わせて、「野間美喜子記念文庫」をピースあいちの1階に設置しました。約800冊の書籍が納められて、来館者に供されるようになりました。
5月のNPOの理事会と6月の総会は、今年も書面による議案の提案、返信ハガキによる評決で開催しました。
コロナは4、5月に第4波、8、9月に第5波を迎えましたが、ワクチン接種が進んだこともあり、ピースあいちは休館はせず、最小限のボランティアさんで、「静かに」開館していきました。ただし講演会などのイベントは引き続き中止しました。それでも、夏の企画展「少女たちの戦争―青春のすべてが戦争だった」には1,600人もの来館がありました。ありがとうございました。8月に開催した「戦争体験を聴くシリーズ」(全10回)はZOOMのみでの開催や、ZOOMと対面の両方での開催など、多くの方々に参加していただくために工夫を凝らしたものになりました。いずれも、1年遅れで開催された「2020東京オリンピック」の時期でした。
戦後75年プロジェクトとして行なった「語り継ぎ手ボランティア研修」が7月に終了し、十数人の方々がこれから戦争体験を語り継ぐ活動に入ろうとしています。戦後世代による戦争の語り継ぎはピースあいちにとって大切な活動になろうとしています。
9月には、来年度の企画展の検討を始めました。現在までに来年の企画展の概要がほぼ決まり、それぞれのチームによって着々と準備が始まっています。
今年の2月に核兵器禁止条約が50か国以上の批准でもって発効し、世界の核兵器の廃絶が現実的なものになろうとしています。しかし日本政府はこの条約に反対しています。唯一の戦争による核被爆国であり、核廃絶にもっとも努力を払うべき日本の政府としてあるまじきことです。条約参加の声を上げなければなりません。また衆議院選挙において与党が多数を占めたことで、憲法改正の動きが強まっています。
来年は、日本が再び戦争への道を行くのか、平和を目指していくのかが問われる年になりそうです。ピースあいちにできることは限られていますが、できる限りのことをしていきたいと考えています。
ピースあいちは来年5月に開館15年目を迎えます。開館以来ご支援いただいた皆様に改めて感謝を申し上げますとともに、5年後の20周年に向かって引き続きご支援ご協力をお願いいたします。
2022年が良い年となりますように。
世界の平和にとって良い年となりますように。
◆今年開催した(開催中の)企画展◆
・福島を忘れない!被災地に寄りそって10年―設立から30年「NPOチェルノブイリ救援・中部」の活動」(3~4月)
・名古屋のまちに爆弾が降ってきた―名古屋大空襲(3~5月)
・戦争とスポーツ―戦時下、時代に翻弄されたスポーツ選手たち(4~5月)
・沖縄から平和を考える―ウチナーとヤマトの架け橋におよび関連展示「首里城」(5~7月)
・夏の企画展 少女たちの戦争―青春のすべてが戦争だった(7~9月)
・ピースあいち子ども企画展「戦争の中の子どもたち」「戦争と動物」および特別展示「引き揚げてきた子どもたち」―植民地や占領地から(10~12月)
・第9回寄贈品展「来て見て伝えよう戦争の記憶」(12月~2022年2月)