NPO団体訪問を終えて
名古屋女子大学中学校 教諭 恒川 園梨
名古屋女子大学中学校の2年生は、毎年、愛知県内各所あるNPO団体を訪問し、国内外に存在する諸問題に関する学びを深める活動として、「NPO団体訪問」を行っています。毎年訪問させていただいている団体に加え、今年度は「ピースあいち」さんにご協力をいただきました。これまでの学習の中では、日本における戦争について学びを深める機会が少なかったため、ぜひこちらにうかがえないかとアタックさせていただいたところ、ご縁を結ばせていただくこととなりました。
戦争というセンシティブな内容について、深く学ぶ機会は多くありません。また、現在の子ども達にとって、戦争のあった日々は遠い過去であり、自らの生活と結びつけて考えることは難しいです。今回の訪問により、生徒は「生きた」戦争のイメージを受け取り、深い興味と関心を得ることができました。11名の生徒が参加させていただきましたが、ほぼ全員の生徒が、戦争をこれまでより身近なものとして考え、「被害者の日本」ではなく「加害者の日本」を強く意識したことが感想シートから見てとれました。その上で、生徒達は「日本から見た戦争だけでなく海外から見た戦争などとさまざまな視点から考え、決して他国が悪いと決めつけない」こと、過去の歴史の上で今の平和な生活があることを意識し「日々に感謝をして過ごす」 こと、一人の力では限界があるため事実を知る人や学んだ人が知らない人に対して「伝えていく」ことが大切であることなど、具体的な生活を想像して書く生徒も多かったです。特に印象的な一人の生徒の感想を、次にそのまま引用させていただきます。
私が戦争資料館に行ったのは、初めてではありません。しかし、私が「ピースあいち」に行き、他とは圧倒的に違うものを感じました。それは、「ピースあいち」では、日本の戦争によって受けた被害だけではなく、日本の加害についてもよく書かれていたことです。日本に住む中国人の身として、日本が海外にあたえた被害について知っている人々がとても少ないのが、とてもつらかったのですが「ピースあいち」を訪れて、「日本の罪を知っている人もいるのだな」と、とても安心しました。南京事件の写真は、見た瞬間、心の奥底からとても熱いものがあふれ出しました。もう少しで泣いてしまうところでした。日本人の命がこれ以上戦争で失われないように、そして日本人の手によって海外の命がうばわれないように、戦争はもう二度とくり返さないことを願います。
私事ではありますが、以前ドイツを旅行した際に、戦争に関する博物館へ足を運ぶ機会がありました。その際に、ありのままの戦争の事実を、子どもやすべての国の人々が分かるように展示されている様子を目の当たりにし、衝撃を受けました。これまで、日本の伝え方や情報が当たり前であり正しいと考えていた私の常識を初めて疑うこととなった体験でした。自国の被害も加害も、すべて認めた上でのみ、本当の平和への考えを持つことができると私は思います。「ピースあいち」さんとご縁を結び、これからの未来をつなぐ子ども達に「生きた」戦争のイメージを持ってもらうことができたと感じています。また、「ピースあいち」の皆さんのお話から、「人と人との出会いの大切さ」や「思いが活動力になっていること」も生徒は学ばせていただきました。今回の訪問は、生徒にとって貴重な時間であったと強く思います。
最後に、今回の訪問を快く引き受けてくださった庭山さん、生徒の目線にたって丁寧にガイドをしてくださった坂井さん、生徒たちの質問にひとつひとつ答えてくださった浅井さんと辻井さんに、特に大きな感謝を伝えたいです。