「戦争の中の子どもたち」展によせて
運営委員 坂井 栄子
2011年の夏の企画展として始まった「戦争の中の子どもたち」展は2017年までは準常設展として、例年、年明けに開催していました。秋に小中学生の来館が多いということが判明し、2018年からは10月から約2ヶ月間展示することになっています。
しかし、昨年と今年はコロナ禍により小・中学生の来館はとても少なく、修学旅行先として予約していた学校からはキャンセルが続きました。緊急事態宣言が解除され、感染者数が減少してきた現在はぜひ来館してほしいと願うのですが、学校行事はそんなに簡単には変更できないから仕方がないでしょう。
1931年の満洲事変で始まった戦争は15年に及びました。子どもたちは軍国教育を受け、この戦争に巻き込まれていきました。その戦争が終わって76年―戦争の記憶は薄れるばかり、加えて戦争体験者が年ごとに減り、子どもたちに直接戦争について話すことのできる人も少なくなってきました。
展示では絵本、雑誌、おもちゃなど「ピースあいち」が所蔵する実物資料やパネルで、戦時中の学校や家庭での生活を紹介しています。子どもたちに戦争の時代の雰囲気を伝え、どのようにして普通の人たちが戦争に巻き込まれていくのか、その恐ろしさを感じ取ってもらえるかを考えながら企画しました。これらを見ることによって子どもたちが「戦争と平和」について考えるきっかけにしてほしいと願っています。
特別展示は毎年替えています。今年はメルマガ先月号で紹介されていますが、中国と朝鮮で敗戦を迎え、引揚げてきたお二人の体験談です。お二人とも外地で比較的恵まれた生活を過ごされて、その生活は中国や朝鮮の人たちの犠牲の上だったと考えるようになったとのことです。
満蒙開拓団としての満洲での厳しい生活や、敗戦により多大の犠牲者を出し、多数の中国残留婦人・孤児を生み出した体験とは異なります。いずれはそういった方たちの体験談も展示する必要があると思っています。