語り継ぎボランティア研修会◆今月は4か月ぶりにピースあいちで

                                           
 

 4月18日、第6回語り継ぎボランティアの研修会が開かれました。ピースあいちを会場にしての研修は12月以来。(一部オンライン参加の方がありました。)

 今回の研修は、第一部では3月に続き「語り継ぎの先輩に学ぶ」、第二部ではグループに分かれ、それぞれのシナリオなどの準備状況を話し合うという内容でした。
 第一部は、名古屋空襲で左目を失い、民間戦争被害者の補償を求めて生涯たたかった杉山千佐子さんの戦争体験を語り継ぐ石川薫さんから、「語り継ぎの実演」をしていただき、そのシナリオ作りの経験などについて、石川さんと一緒にシナリオ作りをしたリボンの会(ピースあいち語り継ぎ手の会)の赤澤さんからもお話を聞きました。

展覧会場の様子1

語り継ぎの実演をする石川薫さん

 石川さんは、「杉山さんの体験を語りたいと思ったのは、名古屋大学や南山大学、鶴舞などのおはなしもあり、身近に感じ、みなさんのイメージが広がるかなと思ったこと。資料もいっぱいあり、既にシナリオもできていた。でも実際に語り継ぐとなると、すごく難しかった。制限のある時間内でシナリオに出てこない部分を映像(杉山さんが語っているビデオ)から選ぶなど。また、自分が知らなかったことの多さも感じた。民間戦争被害者に対する国の補償を求める杉山さんの思いは、杉山さんの書かれた『生き証人』という詩にあらわされています。シナリオにはなかったのですが、最後に杉山さんのメッセージとして入れました」と話されました。

 赤澤さんは、「『戦争で〇〇人が犠牲になった。』ではなく、杉山さんの体験を通して、そこに一人ひとりの尊い人生があったということに思いを巡らせてほしいと思った。また、杉山さんの活動は、これからの平和を求める活動であることも知ってほしかった。今回石川さんの語り継ぎのDVDを見直して、いま世界各地で起こっている戦火の下にも、たくさんの杉山さんがいるということを想像してもらう工夫もできるかなと思った」と話されました。

展覧会場の様子1

グループに分かれての交流会

 第二部は、会場で二つのグループとオンラインのグループの三班に分かれ、参加者のみなさんから、対象者の選定、シナリオの準備状況などについて意見交換をしました。
 「終戦時に15歳だった母の体験をと考えています。県一女学校(現明和高校)時代の日記や資料なども残っている。5月中にも原稿案を仕上げようと思っている」
 「広島出身なので、木下冨江さんの被爆体験を語りつぎたいと思っている。木下さん家族が原爆投下当時にたどった足跡を実際に巡ってみたいと思っている」
 「終戦時女学生だった望月さんの体験を語りつぎたいと思っている。体験記やビデオも拝見し、スタッフの方にお願いし、ご本人とも面談することができました。もう一度お話を伺える機会を作り7月までには仕上げたいと思っている」
 「女性の体験、地元のカテゴリーで考えていますが具体的なしぼり込みはできていない。他の参加者のみなさんのご意見がとても参考になる。4月中にテーマ、体験者の絞り込みをして、資料収集シナリオ作りへとがんばります」
 「106歳の上野三郎さんの戦場体験をと思っている。ビデオ、新聞記事、体験談、上野さんの書かれた体験絵などたくさん資料をいただきました。スタッフのご援助で、上野さんにお会いできることになりました」
 「対象はまだ絞り込めていない。コロナ禍で、職業上ボランティア活動は制限せざるを得ない。メールで相談にのっていただけたら」
 「父・母・祖父・祖母、それぞれに戦争体験があった。ひとり一人の体験を“家族の戦争体験”として語り継ごうかと思っている」
 などなど、それぞれの状況が話されました。

 

 「戦後世代の語り継ぎボランティア」研修は2020年10月から2021年4月を期間としていましたが、コロナ禍で、休会やオンラインでの研修となり、期間を7月まで延長することとなりました。