「平和学習」展~First Challenge~
山県市歴史民俗資料館文化芸術管理監 岡山 敏明

                                           
   

 岐阜県山県市は、平成15年4月に旧山県郡の高富町・美山町・伊自良村が岐阜県ではいち早く平成の合併を行った市です。以来17年、令和2年度に山県市において昭和の戦争にかかわる展示が企画されました。
 担当者として調査を進める中、戦争に関わる資料が旧美山町・伊自良村に残されていることが分かりました。軍服など主に軍事関係の資料が、百点近く残されていることにやや安堵するとともに、長い時間保管管理していただいた先人の方々に感謝の思いが湧きました。

展覧会場の様子1

展覧会場の様子

 

 展示のねらいを吟味するうちに、「平和への願いや大切さ」が自然に心の中に湧いてくる展示にしたいと感じ始めました。というのも今回は、小中学生の授業としても耐えうるものにしたいと考えたためです。
 そのためには、当時の時代や社会の様子が分かるような写真・実物資料の展示と、その解説や説明パネルの工夫が必要だと思うようになりました。残念ながら山県市には、そうした資料がほとんどなく、多様で魅力あるもの、心に訴えかけられるような資料が少ないのが実情でした。
 そんな中、令和2年4月、中日新聞の記事で「ピースあいち」の模擬爆弾の資料のことを知りました。さっそく訪問させていただき、運営委員・事務局次長の庭山輝男さんに展示の内容・工夫、資料館としての体制などをご教示いただきました。さらに資料借用についてもご快諾をいただきました。

展覧会場の様子1

「平和学習展」を見学する子どもたち

 

 令和3年1月7日より3週間、「平和学習展」と題して山県市でも初めて昭和の戦争をテーマにした企画展を行うことができました。一般の方々をはじめ、市内4校の小学校と1校の中学校からの参加もあり、平和の尊さを改めて考えていただくきっかけづくりができました。
 当時の様子を知る高齢者の方々、家族連れの皆さんなど多くの年齢層の方にご覧いただけ、「こういった展示は、必要なことだね。」と率直な感想をいただきました。
 これからも今回のご縁を大切に、毎年開催することができたらと考えています。
 最後に、展示を参観した市内小学校6年生の一口感想をご紹介します。

 わたしは、きょう戦争のことをいろいろ知って、国どうしが戦争をつづけていて、とても悲しかったです。たくさんの人が、罪のない人々が死んでいくなんて、とってもざんこくです。しかも、生活でひつような物や、食物、着る物などもなくなってきて、とってもひどいなと思いました。子どもを戦争に送るために国民学校でくんれんしてひどいと思いました。もう二度と戦争をやりたくない。国どうしが、なかよくすごせる世界にしたいと思います。