今回の研修はオンラインで◆語り継ぎボランティア
10月から行われている月1回の「戦後世代による戦争体験語り継ぎボランティア研修」。1月は新型ウイルス感染拡大で中止となりましたが、2月21日(日)はオンラインによる研修を行いました。
今回のテーマは「語り継ぐこと、継ぎ足すこと~語り継ぎ手は語り手を超えることができるのか?~」。東海高校教頭の西形久司さんに講師をお願いしました。
30分ほどの講演のあと、進行役の熊本典生さんが、これまで語り継ぎボランティアさんから寄せられていた「戦争の加害と被害をどう伝えるか」「個々人の戦争の記憶だけでなく、広く戦争の悲惨さや無残さを語りたい」「自分の家族の体験を語りつぎたい」などのご意見や疑問、また参加者からの質問を紹介し、答えていただくという形で進めました。
◆西形さんがお話された内容のほんの一部をご紹介◆
江南市の空襲を調査したとき。住民の証言は「やけどはなかった」「落ちた爆弾が燃え続けていた」「爆風があった」など。それを聞いて、「落とされたのは焼夷弾ではないな」と思いました。
米軍の記録を見てみると、投下されていたのはM47焼夷弾でした。これは、日本の木造家屋を焼くために開発されたM69焼夷弾とはちがって、爆風の威力が強く、消火活動の妨害と後続機への目印となる役割を持った焼夷弾です。
体験者の記憶と米軍の記録の両方の視点から、新しい事実が明らかになったのです。 地上の記憶を上空の記録が裏打ちするということです。
加害・被害の問題では、100%の加害、100%の被害というのはほとんどないといえます。加害と被害は混在しているという視点が必要です。片方を見るだけでは戦争の事実は見えません。両方を見ることが大切です。
また加害の行為に追い詰めたものは何か。加害を「構造」としてとらえることが必要です。
私たちは、知らなかったことを知る喜びを知っています。知らなかった戦争の事実を学び、点から面へと広がっていく喜びをより多くの人と分かち合う。これが語り継いでいくという意味ではないでしょうか。そのためには、自分が何を知らないかを知ること――謙虚な気持ちの学びが必要です。
戦争と自分の「距離感」を縮めるために、身近な人の体験―おじいちゃん、ひいおじいちゃん、地元に残されている体験談集などから、自分との接点を見つけることも大切でしょう。
戦争はどんどん遠くなると言われていますが、この地球上で戦火が絶えたことはありません。リアルタイムの戦争が存在しているのです。過去の戦争と今起きている戦争。どちらも学ぶことが必要です。ピースあいちで、いっしょに学んでいきませんか。