◆所蔵品から◆資料ナンバー7103 『カズノホン 四』の話
資料班
『カズノホン 四』 1941年発行 表紙・奥付
今月ご紹介するのは算数の教科書『カズノホン 四』です。
ピースあいちの常設展「戦時下のくらし」コーナーで展示されています。
1941年、文部省の発行です。(8月発行、9月翻刻発行)
小学校が国民学校に変わったのが1941年からなので、これは国民学校で使われた教科書です。
『カズノホン 四』 37・38ページ
ピースあいちでは、軍艦の絵のページが見開きで展示されています。
算数の本質的なところは1941年(79年前です)も今も変わらないはずですが、そういう算数の教科書を通してでも当時の価値観のようなものは伝えられていったのだよな、と思いました。
本文が「かたかな」で書かれています。しかも言葉の区切りのところでスぺースを空ける書き方。低学年用の教科書です。(『カズノホン』の三・四が2年生用です。)
軍艦の項目は七の段の掛け算がテーマのようです。
左側のページの写真は、紙の帯を一度ねじって輪にして貼りあわせて、そのあとはさみで切っています。小学生の時やったことあるよね。「メビウスの輪」という言葉を当時の小学生(少国民)は教わったのかしら。
『カズノホン 四』 39・40ページ
続きのページです。きびがら(棒状の工作の材料)の数を計算した後で、戦車(の形)を作っています。
右ページの最後のところを見て頂きたいのですが、「ケイサンシナサイ」「イッテ ゴランナサイ」など、「丁寧な命令」の言い方になっています。
「~してみよう」とか「~しましょう」など、提案というかお誘いのような言い方が、最近の教科書は多いのではないでしょうか。
『カズノホン 四』 3・4ページ
ここでは、お金の計算をしています。計算問題で、しょっちゅう買い物してたよな、と自分の小学生の時を思い出しました。1941年当時は、「1円」=「100銭」の計算をしないといけないのがさらにややこしいよね、と思いました。
『カズノホン 四』 7・8ページ
こちらは「メートル」「センチメートル」の項目です。メートル法使ってたの?と、一見した時びっくりしたのです。以前「所蔵品から」でご紹介した1939年のお菓子の本、重さの単位はグラムでなくて匁(もんめ)だったよ。
これからの子どもたちにはメートル法も必要、ということなのでしょうか。
『カズノホン 四』 19・20ページ
この、左ページ中ほどの、「4ノ 六バイハ イクツ デスカ。」というのは、掛け算の問題ですね。「六バイ」は、漢数字が使われています。
もう少し下は「9ハ, 3ノ 何バイ デスカ。」、割り算も出てきます。
3×1=3、3×2=6、と9が出るまで続けるのなら、掛け算の復習になるのかしら。
隣のページの写真「ユワカシニハ, ヒシャクデ 何バイノ 水ガ ハイル デセウ。」
ひしゃくには「六デシリットル入リ」、湯わかしには「三リットル入リ」の文字が添えられています。
何升・何合ではなく、リットル・デシリットルが使われています。そして、これも割り算で解きたくなる問題です。
『カズノホン 四』
上から、 21・22ページ 23・24ページ 25・26ページ
当時の硬貨(5銭)・はがき(2銭)・切手(4銭)の絵が使われているページをご覧ください。戦争に関係する・しないにかかわらず、教科書にはその時の社会のいろいろが反映されるようです。
詳しい画像はこちらからどうぞ。
http://www.peace-aichi.com/pdf/20200823_kazunohon.pdf
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https://peace-aichi.com/objects/