ときどき事務局だより◆このごろ思うこと
事務局次長 庭山 輝男
2007年開館の年の年間来館者数に次ぐ来館者になると思われた2019年度も、2月に入って新型コロナウイルス感染防止のためにイベントや団体来館対応のとりやめがあり、あと百数十人のところで残念ながら、開館以来2番目となることができず、間もなく終わろうとしています。そこで、私なりのこの一年の出来事を振り返ってみると…・。
愛知県弁護士会の2019年度「人権賞」に、ピースあいちを運営するNPOが選ばれました。「世界が自国ファースト、軍事拡張に向かう中、重要さを増す活動をしている」が授賞理由でした。2月18日に授賞式があり、館長と同席しました。賞をいただく理由を聞いた時、ボランティアに参加していてよかったと思いました。
そんな喜びもつかの間、3月1日、開館以来12年間の館長で、現NPO法人平和のための戦争メモリアルセンター理事長の野間美喜子さんが急性心不全で逝去されました。急なことで、残念でなりません。本人の強い遺志で、葬儀等を済ませた後、私たちに知らせがきました。ご冥福をお祈りします。
訃報が新聞に掲載された4日、開館と同時に、野間さんと高校の同級生という方が、白菊の花束とメッセージカードを届けに来館されました。またその日の午後、長時間ピースあいちにおられた方のアンケートには、「本日は野間さんへの追悼の想いでおじゃましました」という記述が。そして翌日には、花とともに野間さんの遺影が1階フロアに飾られました。
大事な人が亡くなったことを日々思いながら、朝、花のお水を替えています。
一年間の学校・団体の来館者数がこの10年の中で件数・人数ともに最多の年となりました。2019年は61団体、2,348人(大人605人、小人1,743人)の団体来館があり、そのうち小・中学校は28校、1,618人(大人90人、小人1,528人)の子どもたちに来ていただきました。これは年間来館者数の20%強を占めています。
小・中学校の団体来館は4月~6月と、企画展「戦争と子どもたち」が行われる10月、11月に集中しています。担当の先生の下見の来館時期が、今年は春休みと夏休みにことのほか多かったように記憶しています。
特記すべき点は、香川県の中学校(1校)と京都府の小学校(3校)の修学旅行先に初めて選ばれたことです。そして、香川県の旅行業者の方から2020年9月に230人位の団体来館の打診が入ってきました。
また、つい先日の中日新聞と毎日新聞の投書欄に、10月に来館された江南市の小学6年生の来館体験の投書が掲載され、戦争体験を語り継ぐことの大切さを訴えていました。
ガイド交流会のワークショップ
年を追うごとに団体来館が増えている現状に対して、団体来館を迎えるボランティアガイドの養成が課題となり、2019年度は、月1回のペースで日曜日に延べ5回のガイド交流会を実施し、ガイドのポイントの共有化を図ってきました。しかし、人数的にはまだ不足気味の状況です。
次世代交流チーム会議
いろいろ課題はありますが、何をするにも行うのはボランティアの方々です。現在約100人のボランティアで日々の館の運営をしています。 ある2月の土曜日の事です。
10時から「戦後75年プロジェクト会議」、11時30分から「次世代交流チーム会議」、13時から企画展「スポーツと戦争」準備会議、15時から企画展「模擬原爆パンプキン」準備会議と、関係するボランティアの方たちが入れ替わり立ち代わりに3階資料室に集まってきました。
お客様の数よりも、ボランティアの数の方が多く、「忙しい」と言いながら、みな生き生きと取り組んでいます。この頃たびたび見かける風景となってきており、慣れてきました。
今年は7人の新しい仲間(ボランティア)が増えました。下は高校生から70歳(平均45歳)の方々で、ボランティアの若返りもさることながら、いろいろな特技を持たれた方もおられます。その特技をどこに活かしていただけるか楽しみです。
大津定信さんのミニギャラリートーク
いま行われている「丸木位里・俊「原爆の図」と大津定信展」の大津さんは、アップルパイを手土産にたびたび来てくださり、その時来館いただいている方々に「ミニギャラリートーク」をしていただいています。
先日、2時間ほどおられた帰り際に、「ここのボランティアの人たちはみな明るく生き生きしていているんだよな」と、ポツリと言われました。この「明るく生き生き」が、ピースあいちの良さだと思います。この良さを守っていきたい。