一年をふりかえって
事務局長 赤澤 ゆかり

                                           
 

 寄贈された資料を展示する「第6回 寄贈品展」で今年が始まり、「第7回 寄贈品展」で終わるのは、市民のみなさんに支えられている民設民営の小さな資料館らしいと、一年をふりかえって思っています。この資料(になった持ち物)はどんな人たちの人生に関わり、どうやってここに来たのだろうと、少し静かになった展示室で向かい合います。
 市民からの寄贈品はピースあいちの常設展はもちろん、企画する展覧会でも展示されて、さまざまなことを現在の私たちに教えてくれます。大切に、次の時代に伝えていかなければと改めて心に留めました。

 

 今年のピースあいちは、たくさんの団体に来ていただきました。校外学習で、修学旅行の事前学習で。大きい施設に行くよりピースあいちでじっくり学習させたい、と言ってくださった学校もありました。遺族会の方々、大学のゼミ…。民間の資料館をつくりたいので参考にと来てくださった団体も数件。
 100人、150人が午前と午後にそれぞれ見学に来るという日もありました。団体の場合、戦争体験の語りと展示ガイドの両方を希望されることが多く、語り手とガイドは連日、大活躍でした。

 そうしたなかで、今まではガイドの「勉強会」という形だったものが、ピースあいちの展示ガイドはどうあるべきか、具体的にどのようにガイドすべきか、ガイド同士が話し合い、交流する場も設けられました。
 この試みはまだ始まったばかりですが、互いに支え合ってガイドの質をさらに高め、もっと発展して、たくさんのボランティアが展示をガイドできるようになるといいなと期待しています。

 

 今年も、企画展やイベントを通して、新しい方にピースあいちを知っていただいたり、交流を深めたりしました。自主企画の主なものは以下です。

・第6回寄贈品展 時代を越えて語り継ぐモノたち(2017/12/8~1/19)
・子ども企画展「戦争の中の子どもたち」と「戦争と動物たち」展(1/22~2/23 10/1~11/30)
・8分間で消えた2000人のいのち「熱田空襲」
 ―6月9日 愛知時計・愛知航空機への空襲(3/5~5/5) 
・沖縄展「沖縄戦と子どもたち」(5/21~7/6)
・ピースあいち特別展「水木しげるの戦争と新聞報道」(7/16~9/1)
・戦争体験者・語り継ぎ手による語り(8/1~15の間の12回)
・第7回寄贈品展―時をつなぐモノたちの声(12/7~2020/1/25)

 いずれの企画展も、前年の来館者数を上回る方々に来ていただきました。この調子でいけば、今年度は開館以来2番目に多い入館者を記録するかもと、スタッフで話しています。

 

 語り手は、夏、愛知・名古屋戦争に関する資料館でも戦争体験をお話ししました。そうした活動は、昨年強化した「語り手の会事務局」が支えています。ピースあいちの同好会「オリーブ」が、イベントで朗読をしてくれるようになったのも嬉しいことでした。
 昨年できた若手 (?) を中心とした会「次世代交流チーム」も、学生無料の日曜開館「学生の日」を実施したり、子どものためのワークシートを制作したり、高校生の集まりや大学のゼミに行ってピースあいちと学生の日のPRをしたりと、主体的な活動をしています。何より、「ピースあいちに自分たちの居場所ができた」と言ってもらったのが嬉しかった。学生のボランティアさんも増えました。

 

 来年は戦後75年の年です。戦後70年のとき、ピースあいちは一年間、「戦争の記憶」募集を行い、寄せられた資料をもとに企画展「伝えたい!戦争の記憶―戦後70年応募資料・作品展」を開催しました。
 来年は、撮りためてきた戦争の証言DVDを多くの人が活用できるようにアーカイブ・ライブラリとして整備するとともに、新たな戦争体験を募集し記録していく事業を計画しています。戦争を体験した方々の「次世代の平和のために伝えておきたい」という思いを、言葉を、せっせと拾い集めて残していく年の始まりにしていけたらと思っています。
 来年もピースあいちは忙しそうです。みんな元気で、良い年になりますように。