◆第7回寄贈品展「時をつなぐモノたちの声」開催に寄せて
運営委員 安藤 正幸

                                           
 

 ピースあいち第7回寄贈品展「時をつなぐモノたちの声」が12月7日から始まります。今回はこの6月までの1年間に寄贈いただいた290点を展示します。

展覧会場の様子1

展示の準備中

 展示作業をする中で、一枚の「入隊許可証」と書かれた紙が目に留まりました。隊名は「神風特攻後続隊」と記されていました。何だろうと添付の趣意書や訓練内容などを読むと、特攻訓練そのものであることに驚きました。
 寄贈者からいただいた資料によれば、この部隊は公の組織ではなく私的に設立した組織で、応募者も多く、女子も1/3と多かったとのこと。実際に組織的な訓練等がなされたかどうかは不明ですが、この資料の展示によって、何か新しい事実が分かるといいと思います。

展覧会場の様子2

徴兵保険證券

 もう一つの紙資料に聞きなれない「徴兵保険證券」がありました。昭和6、7年にかけてのものですが、保険金額は1,000円で保険料は230円40銭の一時払い。日付を見ると生まれてすぐにかけられていることがわかり、さらに調べると兵隊検査で甲種合格し兵役に就くと所定の保険金額がもらえるという学資保険のようなものであることがわかりました。
 このケースでは満期前に終戦を迎えているので、保険金は払ってもらえなかったのではないでしょうか。この保険は大正後期まで保険会社の稼ぎ頭だったようで、今日まで存続している会社が多いです。

 このように、寄贈された一枚の紙や小物でもそれが意味する多くのことを知らせてくれます。
 初日のオープニングイベントでは寄贈者の方に来館していただき、当時の体験や寄贈品などについてお話をうかがう予定です。戦争体験世代が少数派となるとき、直接体験を聞いて継承する人々も少なくなっています。寄贈品の声を聴いて戦争の一端を知っていただきたいと思います。