◆所蔵品から◆資料ナンバー1569 雑誌「東亞服装」の話
資料班
「東亞服装」1943年8月発行
今月ご紹介するのは、服飾に関する雑誌です。
1943年8月号の表紙と裏表紙。「東亞服装 決戦版」です。
「今日も決戦 明日も決戦!」「標準服・更生服・防空服」の文字があります。
裏表紙は、昔ながらの女性の仕事着です。
質素である事、働くための動きやすい実用的なものである事、さらに日本の伝統というか、大和だましい的な精神的な価値も乗っけられて、「田舎の仕事着に学べ」的な文章があったり、伝統的な仕事着を洋服にアレンジしたページがあったりします。
「東亞服装」1943年8月発行
表紙をめくったところの記事は、「標準服を作りませう」。
右ページ右から「活動衣乙型」・「乙型二部式」
左ページは4型とも甲型、右から「二部式一号」・「二部式二号」・「一部式一号」・「一部式二号」、となっています。
一部式はワンピース、二部式は上下分かれた服です。甲型の一号二号は、一号が巻きスカート、二号がフレアスカートになっているみたい。襟元はすべて着物風に斜めに重ね合わせる形です。
右ページ左端の乙型二部式は、着物のように見えますが、袖が手首のところで細く、筒状になっています。足元は足袋(たび)で、下駄か草履です。
「東亞服装」1943年8月発行
「いつ何処(どこ)で」「空襲警報が」「発令されて」「も我々には」「チヤント用意」「がしてある」という見出し。「防空服」のコーナーでしょうか。
右ページの3人は肩掛けの荷物を持っています。防毒マスクのようです。
左の3人は火たたき・防毒マスク・バケツを持っています。
モデルさんたちは「まとめ髪」にしていますが、つやつやの髪にウエーブがついています。リボンをしていたりします。口元や眉はメイクばっちりな感じです。
「東亞服装」1943年8月発行
「更生服」で「標準服」なのがこちら。「更生服」は、修理したり作り直したりした服のことのようです。和服を作り直して洋服に、というのが多いみたい。
「退蔵衣料を活用した婦人標準服展覧会の印象から・・・」
印象から・・・って何なの、と思って本文を読むと、展覧会最終日、日本橋三越の会場は、「大変な混雑でスケッチもできない」「写真も間に合わず、その日の印象から後でマトメたのが上のようなものとなった次第」で、「ソックリではありませんが面影は伝えています。」という事情らしい。
日本橋三越・銀座松屋・上野松坂屋と、有名百貨店を会場にした大がかりな展覧会だったようです。
左下の囲みは「防空服」のコーナーです。
上衣に付いているフードが防空頭巾の役割をしています。斜めがけにしているのは防毒マスクの袋です。肩ひもが落ちてこないようにボタンで留められます。
左端の図が「空襲警報中」。火消し道具の鳶口(とびぐち)を持っています。隣が「警戒警報中」。頭のかぶり物を外し、足元もゆったりさせています。一番右は、防毒マスクをつけた図。防空頭巾をしていると防毒マスクをつけるときに不便なのが、これは「チャック」で問題を解決している、という図です。
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http://www.peace-aichi.com/pdf/20190823_touafukusou.pdf
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