◆見る人の心に響いた『あの夏の空に届け』の思い◆南山国際高等学校の演劇部有志、保護者有志の朗読劇
ボランティア 野田 隆稔
7月6日(土)、南山国際高等学校の演劇部有志、保護者有志の方々によって『あの夏の空に届け』の朗読劇が行われた。南山国際高等学校の生徒と親が「ピースあいち」で公演するのは今年で11回目であるが、私は初めての参加であった。
演技者は演劇部の高校生の男子2人、女子5人(うち一人は独唱)の生徒と母親6人の13人であった。
オープニングは高校生による峠三吉の『人間をかえせ』の日本語と英訳の朗読であった。英訳の最後「Give back Peace」はよくわかった。
朗読する生徒と保護者たち
印象に残ったものを挙げる。米倉斉加年さんの『大人になれなかった弟たちに…』であった。その最後の部分「…その時の顔を僕は今でも忘れません。強い顔でした。でも悲しい顔でした。僕はあんなに美しい顔を見たことはありません。僕たち子どもを必死で守ってくれる母の顔は美しいです。」朗読者の顔も美しかった。広島で、東京で、満州で子どもをかばっていた母親たちの顔は「強く・優しく・美しかった」のだろう。朗読者の淡々とした語り口が悲しみを倍加させる。
『戦没農民の兵士の手紙』。この本は若い頃に購入し、感動した思いがある。朗読の中の夫婦の手紙も夫の家族への思いが溢れていて、心を打つものであった。
フィナーレの『続々・地雷ではなく花をください』は旧ユーゴスラヴィアの内戦の中で仕掛けられた地雷を踏んで盲学校の生徒が亡くなる。そんな不幸な出来事に地雷を取り除き、花を植えようという地雷撤去の絵本である。「一つ取ったら花の種、一つ取ったら植木1本」、リズム感もあり、新鮮であった。
全体的に重い雰囲気の中で、場を和ますようにアカペラで『椰子の実』『赤とんぼ』を歌った女生徒の声は伸び伸びとして澄んでいた。
「この朗読を通して、誰をも不幸にする戦争の悲惨さを声に表し、その思いをしっかりと届くように心掛けたいです」(高校生)、「初めて朗読に参加します。私自身、この朗読を通して、今現在も続く世界の争いごと、平和について改めて考え直すきっかけとなりました。当時の人々の思い、綴られた真実の言葉を一語一句、大切に読ませていただきます」(親)。
皆さんの思いは聞く者にしっかり届きましたよ。いいものを聞かせていただいてありがとうございました。