◆「熱田空襲」関連企画―講演会「中京高女の学徒動員と熱田空襲」に参加して
伊藤優花(21歳)
4月13日、開催中の「8分間で奪われた2000人のいのち―熱田空襲」展の関連企画として、至学館大学の越智久美子さんの講演会「中京高女の学徒動員と熱田空襲」が開催されました。概要は以下のようでした(編集部)。
2005年、『学校法人中京女子大学100年史』を執筆する中で、戦争中に「愛知時計へ動員従業中の学徒31名と先生が空襲で爆死という開校以来の大惨事」が起こったということを知った。その後自分がくも膜下出血で倒れ、「死」の恐怖や再発・後遺症の不安の中で「命」について向き合った。その時、空襲で亡くなった31人の学徒の名前や一人ひとりの人生を知りたいと強く思った。当時の中京高等女学校からは690人、中京実業女学校からは494人が軍需工場に動員された。うち415人が愛知時計への動員だった。卒業生を訪ね、亡くなった方34人のお名前が判明し、若者がどのように戦争に巻き込まれて行ったのかを聞くことができ、『私たちの戦争―中京高女の学徒動員と熱田空襲』という本にまとめた。
講演する越智先生
越智先生の話を聞いて印象に残ったことは2つあります。1つ目は先生が生命の危機を乗り越え、今この場に立っているということです。
人は窮地に立つと普段見えないものが見えたり、不思議な体験をすると聞きました。私はそのような体験をしたことがないですが、「死」に直面した時、命の尊さや大切さを強く実感するのだと感じました。
2つ目は「戦争がないことが本当に平和なのか」という言葉です。さまざまな場面で戦争について知る中で、戦争がない時代に生まれて良かった、私は平和な時代の中で生きていると思っていました。しかし越智先生のこの言葉を聞いて、「平和」とは単に戦争がないことなのか、戦争を70年も前のことで終わらせていいのかと考えさせられました。
またこの講演会に参加された戦争を体験した方は、泣きながら当時のことを語ってくださり、私たちは戦争の悲惨さを伝え、戦争を過去の出来事で終わらせていけないと思いました。戦争に対して疑問、批判なく、ただ「お国のために」と行動していた事に驚きました。知らぬ事の恐ろしさを知らず、10代で人生に対する諦めがあったという話にも驚きました。
今を生きる私たちは、個人の意見を尊重して一人ひとりの痛みを共感できる心を持つことが大切だと思いました。
どう生きたいのか、どんな社会にしたいのかを考え、今を戦前にしないために社会に目を向け政治に目を向けていきたいです。そして、言葉の使い方にも気をつけるべきだと感じました。普段何気なく使っている「大丈夫」という言葉にも、聞き手によっては何が大丈夫なのかと不安が生まれて恐怖心を抱かせてしまう場合があるとわかりました。話し手側の想いではなく、聞き手の想いをくみ取り発言していくことが大切だと思いました。