◆所蔵品から◆資料ナンバー7380 「饗饌(きょうせん)の案内・心得」の話
資料班
封筒
今回ご紹介するのは招待状です。
淡いベージュ色の封筒の表は宛名、裏返すと洋風の横長に開くタイプ。封をするあたりをよく見ると、紙に凹凸をつけて菊の紋章が入っています。
外封筒
上でご覧いただいた封筒は、こちらの封筒に入っていました。和紙でできているようです。
郵便で届いたのですね。「書留」「親展」の文字が見えます。
差出人は岐阜県知事官房主事。
消印の日付は3.11.2と読めます。
切手
切手と消印の部分です。
切手は、どちらも「大日本帝国郵便」と書かれ、上の赤いのが「参銭」(3銭)下の緑色が「弐拾五銭」(25銭)です。郵便料金は28銭だったようです。
カード
こちらが中身のカードです。
来る16日に岐阜県大野郡高山町(今は高山市)で、
「饗饌ヲ賜リ候條此段申伝候也」。
説明します。
「饗饌」(きょうせん)は、もてなしのために用意した膳
「賜る」(たまわる)は、目上の人からものをいただく
「候」(そうろう)は、「~ます」
「條」(じょう)は、「条」とも書きますが、「~の件」
「此段」(このだん)で「このこと」
「申伝候也」(もうしつたえそうろうなり)
おもてなしのご馳走のご案内。何があったのか。
大礼記念章
同じ人のもので、記念賞「昭和大礼記念賞」です。
裏には「大礼記念賞」「昭和三年十一月」の文字がありました。上でご紹介した招待状と同じ月です。
昭和3年(1928年)11月、大嘗祭が行われています。天皇の即位の後の儀式です。
それに関連した食事会が、岐阜県の高山で行われたようです。
饗饌に召さるべき者の服装心得
封筒にこんなのも入っていました。
「饗饌に召さるべき者の服装心得」。今風に言うとドレスコードです。
一、大礼服 二、正装、礼装、通常礼装 三、通常礼服(燕尾服) 四、通常服(フロックコート) 五、訪問服(モーニングコート) 六、男子和服 七、婦人和服、と項目分けされています。
昭和3年は1928年、90年ぐらい前のフォーマルウェアは今とどう違うのか。
まず、一番で大礼服。いきなり軍服がトップに来ます。勲章・記章・褒章佩用という注意書きも、軍人さん向けでしょうか。佩用(はいよう)は、勲章などを身に着けることです。
フロックコートは、丈の長い上着です。
女性は和服しか項目がありません。普段の服装でも女性はまだ和服のほうが多かったのではないでしょうか。
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http://www.peace-aichi.com/pdf/20190422_kyousen-invitation.pdf
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