資料ナンバー2183 新聞広告 ステープル・ファイバー特集号 の話 資料班


 
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大阪朝日新聞 1936年9月31日号広告

 先月に続いて、新聞からご紹介したいと思います。 今月取り上げるのは、大阪朝日新聞の全面広告、ステープル・ファイバー特集号です。
 ステープル・ファイバーって何だろう、と思われた方でも、短くして、「ス・フ」とか「スフ」だと、なじみがあるかもしれません。今でいうレーヨンです。材料は糸にできない短い綿の繊維とか、木材とかです。
 

新綿花羊毛の輸入億円

大阪朝日新聞 1936年9月31日号広告 第4面

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大阪朝日新聞 1936年9月31日号広告 第3面

 4面には、ステープル・ファイバーの説明が載っています。
1は、「愛国繊維ステープル・ファイバーとは」。大陸とかサハリン(どちらにも、日の丸の旗が立っています。)から、丸太(材料)が、工場のある近畿地方に運ばれています。
2は、外国でのステープル・ファイバー。第1次世界大戦中にドイツで発展したとか、イタリア軍の、エチオピア遠征の時に使われたとか。
3は、国際連盟を脱退した日本と、関税障壁と書かれた塀の向こうで「アカンベー」をしている豪州(オーストラリア)政府。
爆発した線路のわきには、「日支事変」と書かれています。

 

4 オーストラリアが羊毛に高い関税をかけたので、日本ではス・フへの関心が高まっている。
5 ス・フを日本の原料で作れば、イギリスのブロック経済政策で手に入りにくくなっている、オーストラリアの羊毛や、インドやエジプトの綿を輸入しなくてもよくなる…
 と、いうようなことらしい。
 ス・フによって、「綿花羊毛の輸入九億円の三割」がセーブできて、「パルプ代等差引き二億円を国民経済に貢献しうる…」なるほど。それはすごい、と思ったら続きがあって、「…(貢献しうる)日もあまり遠い将来ではなかろうと信じます」…ということは、「二億円」というのは、そうなったらいいなあ、という数字なのか?
 ともかく、「愛国繊維」と呼ばれ、「ス・フ工業の促進は、国策上緊急な要望」と言われ、ス・フには大きな期待がかけられています。

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大阪朝日新聞 1936年9月31日号広告 第2面


 別の面には「樹から繊維の生(うま)れるまで」ということで、化学的に、繊維の作り方を説明しています。おおざっぱにいうと、植物の繊維(セルロース)を、アルカリで溶かしてどろどろにして、硫酸の中に噴出させると、細長く固まって 繊維ができるのです。
 より合わせて糸にして、布に織って、染めて、さまざまな衣料品に、というところまで、載っています。上のほうの丸い写真は、布にプリントする柄をローラーに彫刻しているところです。

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大阪朝日新聞 1936年9月31日号

 こちらの面は、大阪日本橋の松坂屋で行われたステープル・ファイバー博覧会のお知らせとか、ヒトラーとムッソリーニの写真とかが載っています。(彼らもステープル・ファイバーの愛用奨励者です、という説明がついています。)
 真ん中から下にかけての写真は、糸を作る機械と布を織る機械です。円筒形のものには、「アルカリタンク」という説明がついています。。
 下のほうは、ス・フを使った着物用の生地「パラマウント着尺」の「宣伝大会」のお知らせになっています。

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http://www.peace-aichi.com/20140920_su-futokushuu.pdf

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